再び、「第2期秦野市職員定員最適化計画案への提案」へのご意見などにお答えして | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

再び、「第2期秦野市職員定員最適化計画案への提案」へのご意見などにお答えして

疑問が多い計画案

多くの市民の皆さんやブログ読者の方々から、たくさんのアドバイスやアイディア、ご意見をいただきました。ありがとうございます。大変、参考になりました。

 

特に、この「計画案」にパブリックコメントが行われなかったことに多くの「苦言」が寄せられました。何故、議会からパブコメの実施を要望しなかったのかと問われました。

 

もう一つはP15(4)の「公民連携の推進」の「民間活力の導入」に集中しました。

 

公的責任の原則とは何か。もっと具体的に説明して欲しい」というご意見をいただきました。そのとおりですね。舌足らずでした。


例えば、5つの課題

■第1 サービスの安定性・持続性のリスク
民営化された場合のリスク管理では、たとえば学校給食の民営化では質より事業収益が優先されるだろうという親御さんからのご意見をいただきました。

 

利益の減少などで給食の質が二の次になること、コストや経営が最優先になることは十分考えられます。状況によっては撤退もあります。常に不安定で持続性の評価点は低くなると思います。

 

このようなことにならないためには、常にリスクモニタリングと並行して、モニタリング・コストを考えていかなければならないのではと思います。


■第2 公共サービス・財務内容の不透明性とチェック能力の喪失
「公民連携」では、事業者の情報開示が乏しいことです。財政状況や従業員の給与、人事、福利等の労務管理がどのようになっているかなどは、法的には行政の責任の範囲外になります。

 

市役所とその従事者の関係では労働基準法の適用外になり、働く方々の権利を市役所がチェックし、保障することもできません。現状では「公民連携」の典型的なデメリットの一つでしょうか。

■第3 社会的コストの発生リスク
自治体直営でも社会的損失が起こり得るものですが、自治体の場合では、営利を目的としていないことや、地域住民との連携、民意が反映しやすいという点において、社会的コストの発生リスクは少ないと考えられます。逆に「公民連携」では議会の意思や民意が反映しにくいことです。

 

法的には、公共サービスの悪化や透明性について、直接、改善要望などを指示したりすることはできなくなります。また災害時などの対応や危機管理において民間事業者に無償で義務づけることはできません

■ 第4 財政コストの増加
当初は好条件であった指定管理制度などでも、中長期的にはかえって財政負担を増加させるというものです。たとえば公共施設の運営過程において、建物内の空調システムの不具合で、空調システムなど非構造部などを入れ替える場合には、自治体直営であれば一般競争入札で安価に導入できます。

 

しかし「公民連携」として維持管理業務をすべて委ねている場合には、事業者が自分たちの関連企業に高い価格で空調システムの導入を発注することになる可能性があります。

 

仮にその財政負担が自治体の責任に属する契約になっているとしたら、自治体にとっては「公民連携」の事業は非常に高価なものになってしまいます。まさに「安物買いの銭失い」になってしまう危険性がつきまといます。


本市の場合、「名水はだの富士見の湯」の指定管理制度では、平成28年10月、市側に指定管理納付金として「月額100万円」が支払われるという条件でスタートしました。しかし2020年10月の契約更新では「月額1万円」になりました。結果的に、かなりきつい財政コストの負担になってしまいました。

■ 第5 公共性の欠如
新聞等の報道にもありましたが、一つの事例として、図書館を指定管理者にしたケースでは、委託料の引き下げの見返りとして図書館使用の裁量を事業者に大きく移譲されました。事業者は公益性より私益性を追求するために、図書館スペースを事業収益の高い飲食や書籍販売などを優先し、収益の低いといわれる一般市民への貸し出し部分を減らすということがありました。

 

この事例は「公共性の欠如」というより「公共性の放棄」と言っても過言ではないという図書館の専門家の指摘もあります。

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思いつくだけで、5つの課題を上げましたが、もっと違った見方もあるでしょう。少なくても「公民連携」では「推進します」という無条件の推進ではなく、「モニタリング基準」として、このような「観点」が不可欠ではないかと思いました。