憲法学者・奥平康弘先生のこと | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

憲法学者・奥平康弘先生のこと

ご冥福をお祈りします

かつて勤務していた職場の上司のK氏から、先日、朝日新聞2015年2月1日付けの記事が送られてきました。


新聞の切り抜きと添え書きには、「東京都世田谷区の文化財保護条例制定(1977年)にあたり、奥平康弘先生の憲法にある考え方と法理が大きな役割を果たしていただいた」ことなどに触れられていました。


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下記は『世田谷区文化財行政事務提要』の抜粋です。

1977年1月に開催された「文化財を考えるシンポジウム」での奥平氏の発言を収めたものです。


奥平氏は、ことさら保存のための文化財に拘っていたわけではありませんが、市民的権利としての文化享受権や、公共の福祉を前提として、一定の私有財産権は限定される考え方などを披歴されていました。


もう38年前のシンポジウムです。

実は、38年も前の奥平氏の論文を後生大事に保存していました。紙は色褪せ気味ですが、氏の理論は色褪せていないように思います。


その地域の文化は、「単に財産権の不可侵をどう調整するかという問題以上に、市民自らが行政手続き上、文化財をどう保存していくかという問題になって、(中略)つまり文化財共有権として捉えていくこと」が重要であると結んでいます。

氏は38年前のシンポジウムでは、憲法に裏打ちされた地域主権、地方主権についてふれています。実は、このシンポジウムのネライはここにありました。

その地域にしかない文化や文化財をどうやって保護していくか。


条例の基本理念を埋め込んで、文化財という分野に種を撒き、

やがて芽が出ることを期待して、条例案の作成を進めました。


改めて、奥平康弘氏のご冥福をお祈りし、未来に渡って、先生の意志を生かしていきたいと思います。(合掌)