公共施設再配置計画の終焉?! | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

公共施設再配置計画の終焉?!

公共施設再配置計画の破綻?

全国の公共施設再配置計画推進のファンの皆様には恐縮ですが、今回の9月議会で可決された補正予算を見る限りでは、本市の最重点課題の一つである公共施設再配置計画の矛盾が明らかになりました。9月6日のブログでも指摘をさせていただきましたが今回の住宅取得についての執行部の考え方は、公共施設再配置計画とは無関係だとの考え方です。

どのように判断しても「カラスの姿は白い」とは言えません。

「40年間で30%の公共施設を削減していく」という本市の計画に対して、逆行する政策・定住化促進事業が進みそうです。
市営住宅取得のために約3億円を
つぎ込むことが決定しました。

少し前ですが、本市の公共施設再配置計画を「社説」で絶賛していた朝日新聞社には、ご所見を伺いたいと思います。

公共施設の長期修繕計画、修繕積立金、複合化の必要性については、一般質問や代表質問で、指摘させていただきました。

しかし本市の公共施設再配置計画は、建物管理、稼働率を最優先した公共施設の貸館化、業務委託が基本となっています。
したがって、市営住宅の削減をはじめ、図書館や公民館、学校等の複合化だけで、地域での公の役割や目的を示していませんでした。この計画は「ハコモノ行政からの脱却」が基本でした。
いつの間にか「ミイラ取りがミイラ」になってしまった感が否めません。


昨日、民政会を代表して、決算特別委員会の冒頭に総括質問をさせていただきました。市長に7項目の質問をさせていただきました。重要な問題として、公共施設再配置計画の問題点を指摘させていただきました。


市長は「既存の法律に基づく今の公共施設の姿が、時代やニーズに適合していない、公民館が減り続けている。もっと多くの市民に応える公共施設にするために多機能、多目的にすべきだ。

利用していない市民のために計画を考えていくべき」と、答弁されました。

法律に基づいている施設が時代やニーズに即応していないとは

どういう意味なのか。公民館が減り続けている理由は何か。多機能多目的の公共施設とはどういうスタイルの公共施設なのか。利用していない市民が多いのは何故か。


様々な思いや市長への提言がありましたが、決算特別委員会総括質問では、再質問は慣例としてできないようです。残念ながら要望を述べる程度になってしました。

本市の地域と密接な公共施設、例えば図書館、公民館、桜土手古墳公園・展示館・宮永岳彦記念美術館などの考え方や目標値は、本市全体の基本構想、基本計画に簡単に盛り込まれていますが、それぞれの施設のきめ細かな、運営の基本理念を盛り込んだ基本構想や基本計画はありません。

総括質問では、市長は将来の公民館像、公共施設像を複合型・多機能型にすれば利用者が増え、時代や市民のニーズに応えられると言っていました。しかし、その合理的根拠を何一つ示されておりませんでした。

一般的に公民館の条例には、簡単な理念と設置のための目的、役割のみが定められていますが、条例に定められている役割、目的を強化していくためには運営計画や将来構想などの行政計画を策定していかなければなりません。

市民の皆さんは意外に思われるかもしれませんが、ほとんど公共施設には、公の羅針盤ともいうべき構想や計画が策定されていません。つまりハコモノ行政を揶揄(やゆ)する表現として、「仏作って、魂入れず」というフレーズがあります。それに加速度をつけているのが、本市の公共施設再配置計画だと思ってください。

社会教育法が改正された平成12年以降、公民館の運営は、少人数化と専門職員の削減、社会教育的要素が希薄化していく中で、日々の職員のたゆまない努力で、営々と築き上げられてきました。市長のご答弁は、こうしたことを省いたものでした。市長には冷静に本市の行政史、社会教育史を振り返っていただきたいものです。この部分では、非常に消化不良の答弁でした。