朝日新聞11月1日付 ”記者有論”の主張 | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

朝日新聞11月1日付 ”記者有論”の主張

     ”抵抗勢力”「もんだ族」 ?!

     穏やかな話ではなさそうです

朝日新聞11月1日付けの16面オピニオン「記者有論」をじっくりと読みました。

”公共施設の老朽化 抵抗勢力は「もんだ族」”というタイトルが付けられています。(秦野市が紹介されています)

いくつもの自治体には、公共施設再配置計画に反対する「抵抗勢力は内側」にいて、〇〇施設とはこういうもんだと主張して、前例踏襲にこだわって、問題の解決に抵抗し、計画の各論入りを阻んでいるということです。こういう市役所職員が「もんだ族」ということらしいです。秦野市にあっては、初めて耳にする”言葉”だと思います。


”抵抗勢力”という表現、何となく、穏やかではありません。

かつて”抵抗”という言葉には「レジスタンス」という、肯定的な意味に使用されてきた歴史があります。肯定的か否定的かは別として、時代は変わったものです。

「抵抗勢力」という言葉が、「正論」の真逆にあるように扱われ始めたのは、報道やメディアに後押しされて、小選挙区制や郵政民営化の時に際だって使用されたように記憶しています。

小選挙区制導入の是非をめぐって争われた1993年の総選挙の際、小沢一郎氏は、小選挙区制導入をめざす自身の勢力を「改革派」、導入に反対し中選挙区制の維持を求める勢力を「守旧派」「抵抗勢力」と位置づけました。

2005年8月8日、いわゆる「郵政解散」と呼ばれる衆議院解散に伴って開かれた記者会見においても、この言葉が使用されています。既得権を守ろうとする力を「抵抗勢力」に見立てたのが小泉純一郎氏です。

共通点は、後押しするように報道やメディアにより「抵抗勢力」が激しく指弾されたところでしょうか。

この時、真の政治改革を熟議するのではなく、小選挙区制と高額な政党交付金だけが前のめりに進みました。郵政民営化では「既得権益」にしがみつく「抵抗勢力」という言葉で踊り、じっくり郵政サービスの基本を議論をするでもなく、「追い風」を受け民営化が実現しました。

現在、公共施設再配置計画は全国的な流れになっています。なんとなく、双子の赤字で悩んでいた1980年代後半のアメリカの「行革」ツールになったアセットマネジメントに似ています。

「記者有論」の記事内容は、公共施設の集約の仕方と、まず市民との合意の前に「もんだ族」と呼ばれている内側との合意形成の困難さが浮き彫りになっているということなのでしょうか。

少なくても本市では、記者が引用されるような、「もんだ族」は存在しているとは思えません。一方的にならないよう、記者ご自身の目で、「もんだ族」がどのような既得権益にしがみついているのか、また「もんだ族」の「存在」についても、ぜひ取材していただきたいです。

そもそも「両者」が対峙しているような話は、あまり聞いたことがありません。「いくつもの自治体」全国各地で、そういう対立があるということですが、意外です。少し驚きました。

いずれにしても、この問題、秦野市ではいくつかのシンボル事業のうち本格的な計画は、いまだ”賽”も投げられていません。市民の方々や行政、議会一体となり、侃侃諤々(かんかんがくがく)と、多面的な議論を巻き起こしてほしい「もんだ」と、思いました。

行政側は、市外・外側だけに気を向けるのではなく、まずは勇気を出して内側や市民の中に入って、初めの第一歩を踏み出してほしいものです。