続々 公共施設再配置計画の課題
世論の作り方は、データの正確性?!
昨年の決算特別委員会で「市民意識調査Webアンケート」の問題点を指摘しました。
政策決定に重要な役割を果たす世論調査が、最近、インターネットだけで判断されているような傾向があります。果たして、この調査方法だけで、市民意思の代表性、「市民はこう考えています」と決めてよいか、疑問を投げかけました。
厚生労働省や文科省、NHK放送文化センターの報告では、Webだけのアンケート調査の限界性を指摘しています。そして、無作為で属性に配慮したミックス・モードを奨めています。ぜひ、研究して取り組んでほしいと申し上げました。
「公共施設再配置計画白書」のアンケートは調査会社にあらかじめ会員登録している、日頃インターネットに親しむ方に限定していることです。
Webアンケートの利便性と含めて、地区別、施設利用者などきめ細かな調査、マーケティングが必要ではないでしょうか。
施設の再配置や統廃合について、近隣の公共施設が廃止されたり、使用料が値上がりしたり、市民に負担を強いることに対して、「何故この施設を廃止するのか。他に無駄はいくらでもあるだろう」「公益的な活動をしている団体は減免すべきだ」といった批判が起こります。
施設のあり方は、そこを活用する住民のことを考え、その施設をどのように活用していくかが問題です。
子々孫々の歴史を形成するように、50年、100年先のことを考えなければならないと思います。「あり方」なくして、建物や資金管理だけを優先していくと、失われるものがあまりにも大きいと危惧します。
既に「ツケ」は起こりつつあります。昨今、地域の結びつきや自治会の加入率低下、地域団体の担い手不足、地域力の醸成の欠如が言われて久しいです。「仏作って、魂入れず」という言葉があります。
公民館などは、本来、法律に基づき地域の「学校」、社会教育の拠点にならなければならないのに、現在、風潮として、稼働率だけを捉えた貸館化傾向に向かいつつあると云われています。嘆かわしい限りです。
今、望まれることは、合意形成を図るために、きめ細かに、地域の代表性、地域を反映した意思を把握することではないかと思います。
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参考文献:*田村 秀 著
『データの罠 世論はこうしてつくられる』
(集英社新書)
*労働政策研究・研修機構編集
『労働政策研究報告書NO.17
インターネット調査は社会調査に利用できるか』
*田村 秀 著
『公共サービスの質的向上を目指して
~NPMの光と影』(地域政策研究』第25号