続 公共施設再配置計画の課題
インターネットアンケートの盲点
ある市に住む友人から「公共施設再配置について、秦野市民の意識は高いね」と言われました。
そう言われると確かに・・・。
秦野市公共施設再配置白書(24年度改訂版)の市民アンケートによると、再配置の取り組みを知っている市民が33.1%です。
しかも再配置については、
「賛成」が22.5%、「どちらかというと賛成」が54.3%、
合計76.8%となっています。驚異的な認知率と賛成率です。
平成24年度改訂版P271のアンケート設問では
「質問6 秦野市が進めている公共施設の再配置は、できるだけ施設の機能を維持する方法を考えながら、40年間で31%の公共施設を減らすことにより、人口減少と市民の高齢化が進む中でも、義務教育をはじめとする真に必要性の高い公共施設サービスを、将来にわたり良好な状態で維持していこうとするものです。このことに対するあなたの考えに最も近いものを一つ選んでください」(引用)としています。
驚異的に、賛成率が高い理由は何か?そもそも設問に問題があるのではないか。そんな思いがしました。
「義務教育をはじめとする真に必要性の高い公共施設サービスを、将来にわたり良好な状態で維持」するためと問われた場合、多くの方が賛成する可能性が予測されます。私も、もろ手を挙げて賛成します。
しかし、公共施設の『白書』では、法律で義務付けられた建物とそうでない建物の峻別と、利活用のあり方、また「良好な状態」の形式知が明確に示されていません。
簡単に言えば、将来、「再配置計画」で、「建物の利活用がこうなりますよ」「こんな風にしてみたいんです」という定形のメニューを見せる前に、その是非を投げかけていることです。レストランで味も内容量も知らされないままで、注文を押しつけられるような話です。
もっとも、レストランの場合では形式知がなくても暗黙知で、想像できますが・・・。
白書の全編を通していえることは、財政への危機感だけをあおって、ハコモノ全体の31%削減をするという建物管理・資産運用論が色濃く出ています。勿論、先立つ「財政」を否定しているわけではありません。
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ここではインターネットアンケートの問題について考察をしてみたいと思います。
現在インターネットユーザーの増加に伴い,Webを使ったマーケティングに注目する企業が増えてきています。
中でも次のような利点があるWebアンケートの注目が高まっています。
〇消費者の生の声が聞ける 〇アンケート用紙の印刷が不要調査員のコストが小さい 〇郵送のコストがかからない
〇加工しやすい「デジタルデータ」を得ることができる
〇集計が早い 〇たくさん質問できる 〇評価を数値化できる 〇宣伝効果がある
他にもあるでしょうが、共通する事柄を、思いつくまま並べてみました。
果たして、インターネットだけの分析で、市民意識の「代表性」を判断できるのでしょうか。
その目的が、インターネットでの物販に関する調査でしたらインターネットだけで十分でしょう。
事は公共施設の利用に関することです。インターネットという利便性だけで調査を済ませ、政策決定をしていく、あるいは参考にしていく、いかがなものかということです。
調査は広域と狭域両面の地域を対象とすべきだと思います。ここを無視することはできません。
勿論、Webアンケートが全く無意味ということでなく、それらを含めた複合的な世論調査をすべきだと思います。
仮に、地域に大型店が進出する場合、経験則や一般的なWebアンケートだけで十分でしょうか。決定時またはその遂行の前に、きめ細かな地元調査・マーケティングをします。その後、合意形成を計るための説明会をします。
公共施設の場合、将来、利用するのは、地元の地域住民です。このことを忘れてはならないと思います。