合意形成の難しさ | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

合意形成の難しさ

今日、思うこと


政局がにわかに慌ただしくなりました。


年内解散近し、と思いきや政権政党内で、時期尚早、慎重論が出ています。


想像ですが、野田総理の思惑は、自民、公明とは「暗黙」の了解があるように、透けて見えます。


しかし、肝心の身内がまとまらない。合意形成がなかなか巧くいきそうもありません。

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さて、昨夜は北地区市政懇談会にお邪魔しました。


参加された方から、11月10日に開催された「議会報告会」についてのご意見が出されていました。


「先日の『議会報告会』もそうだったが、意見がかみ合わない、すれ違いの議論が多い」という、手厳しい感想をおっしゃっていました。


昨夜のやり取り、特に市営住宅の募集、入居や渋沢丘陵の墓地建設の話題、私もそんな感じがしました。


行政と市民の意見が並行線だったことは否めません。


しかし、「熾烈な対立」という形での平行線ということでなく、論議にグランドルールがない、論点が見えにくい、つまりファシリテーション機能が発揮されていないというか、そんな感じがしました。


北地区自治会連合会会長は手際よく、意見調整をされていました。ご苦労様でした。

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「日本人は議論が下手な国民」って何かの著書で、どなたかが言っていたように思います。

地域の中でも、様々な会合があります。なかなか、まとまらないことがあります。

「日本人は根回しの民族だ」とも言われきました。確かに、ケースによって根回しは、立派なファシリテーションになります。


ところが一旦、考え方が違うと、意見がかみ合わない、論点整理が困難になります。さらに畳の目ほどの違いにも、斟酌(しんしゃく)なく相手を打ちのめす議論で、かみ合わない、異説争論を困難にしています。

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昨日の国会、ラジオで聞いていましたが、予算委員会で野田総理「・・・・でしょうが、ご理解ください」の連発でした。


つまり”決定しました。多少ご不満もあるでしょうが、ご理解ください”こういう議論です。平行線でした。


市議会での行政執行部とのやり取りでもこの用語が多いです。


「ご理解ください」


非常に気になる言葉です。


一方、市民や議員の提案や提言に対しては

”承りました。前向きに検討させていただきます”

これも気になる言葉です。


すべての提案、提言、百論百出について議論したら大変です。困難な場合もあります。ならば、無理なものには無理だと、丁寧に合理性をもってハッキリと物言う姿勢も大切です。

また確かな提案、提言でしたら、”しっかりとこれから議論して参りましょう”くらいの受け止め方をした方が健全です。

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かつて日本は国民一人ひとりの識字率や文化、教養などを高め、究極的には国力アップのため、”教育”に全力を上げてきました。


たくさんの成果をあげてきました。


かつて地域の中で、一人ひとりは、地域でどういう役割を果たしていくのか、一人ひとりが他者とどういうふうに向き合って、支え合っていくのか、そのためには、他者とどう会話を交わしていくかを学んできました。


昨今、家族のあり様の変化と、地域社会にある伝統や習慣、催事、文化などの変化が進みつつあります。


変化から地域社会の”絆”の喪失が言われています。


今、この変化にどう対応していくかが、問われているのではないかと思います。


80年代に喧伝された「社会教育の終焉」ではなく、究極的には地域力アップのために、失われた社会教育を取り戻すときが来たように思います。