再び、図書館のミッション
公共図書館は生きているか?
来年4月から佐賀県武雄市立図書館が民営化されることは、先日このブログで申し上げました。
日本図書館協会は、図書館業務の受託主体であるCCCの、Tカード使用による個人情報流失など、様々な視点から「公開質問状」を武雄市に提出しています。
この問題の是非はともかく、民営化=経費削減や図書館業務の効率化は、将来、他の自治体へ波及するものと思います。
秦野市も、平成18年度から、行革プランに基づき、一部貸し出し窓口業務について民間委託をしています。
そもそも、地域にとって図書館とは何か?
このことから考えなければならないのではないかと思います。
市政運営の基本方針となる秦野市総合計画・2020プラン、教育指針となる教育プランなどには、どのように書かれているか調べてみました。
ビックリしました。図書館ビジョンが見当たりません。
この中では、いずれも「事業概要」や「現状と課題」から「方向性」などが記載されていましたが、内容は、事業紹介、図書館の蔵書数、市民一人あたりの貸し出し冊数、図書館事業への取り組みなどでした。
読み返してみても、秦野市の図書館基本計画、運営方針、事業計画、資料整備計画、施設管理計画など基本となるものはありません。
私は、以前、図書館は「地域の学校」と申し上げました。
基本として、図書館は図書館法に基づいて作られています。図書館法では、登録された公立図書館の奉仕の努力義務を多岐にわたり規定しています
図書館は、年齢や地域を超えた無償原則のサービスと運営を計画していくところです。小学校や中学校のように文科省や教育委員会が規定したものはありません。
事細かな学習過程やカリキュラム、研修・研究計画などはありません。
では、何が”図書館のミッション”なのかと申しますと、それぞれの自治体は図書館の運営を自己決定していくことです。
基本は誰でもが利用しやすく、地域や学校を支援する図書館奉仕(サービス)のあり方を作り上げていくことだと思います。
幼児・児童・青少年サービス、高齢者サービス、障がい者サービス 視聴覚サービス 多文化(異文化)サービス、地域資料サービス、行政資料サービスなど総合的な施策の構築、ここから派生する、司書の役割、窓口業務、蔵書計画、学校・地域連携などを、どう計画していくかです。
これまでの公立図書館は、まず窓口サービスや蔵書計画のみに躍起になっているように思えます。
公立図書館の本旨を見失って、まず財政状況の問題だけに焦点をあてていくことは本末転倒ではないでしょうか。
秦野市の公共図書館ができて、今年で90年です。先人が、地域の文化を高めて、教育力を醸成していくことに情熱を燃やしたように、今こそ、秦野にふさわしい図書館百年に向けて、中長期ビジョンを作成して、新しい図書館構想を打ち出していくべき時だと思います。