図書館のミッション
佐賀県武雄市立図書館業務委託?
「 武雄市は5月4日、来年4月から市立図書館の運営をレンタルソフト店 による業務委託を予定。年間運営費1億4500万円を1割程度削減できるとみている。 業務委託したほうが年中無休になって、開館時間も長くなり、しかも経費削減か。」
こういう新聞報道が飛び込んできました。図書館は、ここ最近、窓口業務委託化、指定管理者団体による運営論議が活発化しています。
名古屋市長の河村さんも盛んに民営化を発信しているようです。
一方、自治官僚出身、元総務大臣で慶應義塾大学教授の片山善博さんは、「公立図書館は市民の自立支援のためにある」とする考え方で、
民営化に厳しく異議申し立てをしています。
私も公立図書館業務委託化には懐疑的です。自治体が提供するサービスで、無償原則を課せられるのは、学校と図書館です。
しかし、最近の公立図書館をみると、ベストセラーや「お目当て本」を探すレファレンスとDVDや貸本屋さんの貸し出し業務、ビジネス支援などに特化していく傾向にあります。
仮に、こういう業務を主とするならば、公共サービスは、住民票を交付する時の業務と同様に手数料を取るべきだと思います。
しかし公立図書館の機能とミッションと住民票の交付とは異質です。
公立図書館が、ベストセラー本や新刊本の書店機能が主体であったりしたら、地域の書店に対して民業圧迫です。
また資料調べのための共用施設だとしたら、特定の方々の学習室と貸部屋になってしまいます。夏や冬などはエアコンがきいていて、確かに快適です。
資料や文献、ベストセラー本だけが「ハコモノ」にあり、貸し出したり提供したりする”場”が、図書館の本来の目的ではないはずです。
公立図書館は赤ちゃんから高齢者までの「地域の学校」だと考えたらどうでしょうか。
様々な年齢別、地域別の対応した図書館機能を構築すべきです。
そして、何よりも憲法でも保障していない、新しい人権とでもいうべき、地域の学習権や文化享受権を保障していく”場”だと思います。
また、公立学校が株式会社立になったり、民営化したりしたらどうなるでしょうか?
いわずもがなです。行き過ぎた民営化です。もはや公共サービスの必要性はなくなります。
しかしながら、今、多くの公立図書館はこのことを忘れ、登録者数や貸し出し冊数などに躍起になっているように思います。
このことが、民営化への道筋を付けているように思えてなりません
本来は図書館のあるべき姿を模索しなければなりません。
例えば経営プランを明確にして
運営計画をたて、運営の重点項目、事業計画、資料整備計画、施設設備の整備計画等を策定していくべきです。現状を分析し、どのような方針の下に、何をどのように行うかを示す計画です。現状の図書館には、このような構想があるのでしょうか。
私は昔、公立図書館に、「地域の学校」としての夢を見ていました。
夢は空しくも破れてしまいましたが、この秦野市に種を播きたいと考えています。