えぇじゃないか。。の五穀豊穣記 -25ページ目

えぇじゃないか。。の五穀豊穣記

食は生活そのもので、私たちの伝統とも深く結びついています。
本ブログでは生活の基盤である「食」を大きなコンセプトとし、
それに関連する歴史的背景や社会情勢など独自の視点を織り込み、
少しでも面白い記事が書ければと思います。





みなさん こんにちは 奥川です。

ノルウェーでのサバビジネスは簡単に言えば「商品先物取り引き」で、金融投資に近い感覚でした。
情報を取って、安く買って高く売る、それだけです。
これに英語や貿易事務、国内での在庫販売といったおまけが付いてきますが、
勝負は仕入れの時点で決着するビジネスでした。

私の場合、全体の相場観など勝てるかどうかという読みの部分は力を入れましたが、
貿易事務や魚の検品などはド素人な上に一人だったのでだいぶヒヤヒヤしました。
急騰する相場の中で買い進めている時に、振込の事務を間違って、半日ほど売りを止められ、
数百万の利益が吹っ飛んだこともありました。

他社に抜け駆けで買い注文を入れると、それがそのシーズンの相場の起点として固定され、
あとはなし崩し的に他社は追随することになります。

私の場合いけると見込んだ価格で、すべてこちらのリスクで買い付けに入りましたから、
他社にはいい迷惑だったと思います。
大手に移った先輩から
「一番星になったら取引停止だからね」
などと脅されたこともあります。
大変申し訳なく、気持ちはわかりますが、ここは公平に、ビジネスライクに対応させていただきました。
談合とは、こういう不和を回避するための手段なのでしょう。

英語についていうと私は苦手です。
以前カナダに滞在していたこともありますが、できればあまり使いたくないです。
実際ノルウェーのビジネスで必要とされたのは、
①まず相手が何を言ってるかわかるか
②数字がわかるか
③相手からのオファーに対し、イエスORノーで答えられるか

この3つでOKなので、自分が流暢に話せる必要は全くありませんでした。
一番大変なのは、買い付けに成功して一段落してから現地の大物と食事に行ったり、
サッカーを見に行ったりする時でした。
ここでは世間話をしたり、笑いを取ったりすることを心がけていたので、結構疲れました。


買い付けのための機が熟してくると、相手から携帯に電話がかかってきます。

相手「HI!  MR. OKUGAWA!
      ARE YOU READY TO BUY?」

私 「YES」

相手「WE HAVE 500MT OF MACKEREL FOR THE VESSEL.
           DO YOU BUY OR NOT?

私 「OFCOURSE! , I'LL TAKE'EM ALL!」

相手「FANTASTIC!!!」

この電話1本で1億から2億の商談が終了です。

次の日に海辺の工場に行って船を待ちます。
船が来たら500トンものサバを一気に箱詰めして冷凍していくのですが、同時に検品していきます。
仮に魚が悪かったらそこで断ることも可能です。

魚の品質にいいとか悪いとかあるなんてそれまでは全く気にしていなかったのですが、
①鮮度(船で何時間もかかる沖合で漁獲するため陸に持ってくるまでの状態はどうか)
②身質(肉質が締まっているか。柔らかくてグニャグニャした感じは価値がない)
③餌食い(漁獲時にえさが胃の中に残っていると、そこから腐る)

サバをひたすら2枚におろして、上記3点をチェックします。
数百トン単位で買い付けていくのでここでミスると取り返しがつきません。
ゴミとして東京湾の埋め立て地に廃棄です。
サバという魚は群れで泳いでおり、船は群れごと一網打尽に漁獲するので、
1匹に異常があると他の何万匹にも異常があることが多いです。

余談ですが、ノルウェーという国は物価が高いこともあり、水産工場の労働者も高賃金でした。
例えば、日曜に働くと休日手当プラス時間外手当を入れると日当で10万円ほどでした。
これに1日3回の食事と2回のおやつタイムがあります。
これには現地の労働者も、
「やりすぎだろ?」と笑ってました。

だいたいこんな感じで1週間で3000トンほど買い付けて終了です。
私は帰国しますが、もちろんこのあとも同業他社は高騰する相場の中でお客さんに確認を取りながら買い続けます。

あとは船積みした3000トンのサバが日本に着くまでの1ヶ月間で誰かに買ってもらわなくてはいけません。
そうしないと資金繰りがショートして社長の自宅が競売にかけられるかもしれません・・・


ところが売り先は辞めた先輩に全部持っていかれてノーアイデアだったのですが・・・・・。〈つづく〉


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