ノルウェーでの思い出⑦ 〜おまけ〜 | えぇじゃないか。。の五穀豊穣記

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食は生活そのもので、私たちの伝統とも深く結びついています。
本ブログでは生活の基盤である「食」を大きなコンセプトとし、
それに関連する歴史的背景や社会情勢など独自の視点を織り込み、
少しでも面白い記事が書ければと思います。

みなさん こんにちは 奥川です。

先日熱心なビジネスパーソンである読者さん数名から、
「ノルウェーの話しはもう終わりなんですか?」
「日本に帰ってきて既存客がいない中、3000トンものサバをどうやって売り捌いたんですか?」
「続きが気になって、ムズムズしてるんです」
このような声が寄せられましたので、もう少しだけ思い出してみようと思います。

確かに当時の状況としては、私の前任者であるベテランの担当課長が大手商社に転職して私とライバルになった上に、それまでの販路が消えて無くなっていました。しかも当時20代半ばの私は魚はおろか、ビジネス自体が良くわかっていない状況で、売り先が無いのに5億円分の在庫を背負うというのは常識的に考えてもクレイジーと言えました。

それでもうまくいった、という話しをする前に、当時の私たちが叩き込まれていた商売の原則というものがありました。重要ワードをあげると、

・CREATION(新たな価値の創造)
・EXPANSION(販売)
・利は仕入れにあり

上から順番に重要な順です。
無から有を生み出し、それを拡大していく、というのが「CREATION」と「EXPANSION」。
「売った買った」の日々の商売で勝敗を決するのが「利は仕入れにあり」。
私がこの時に拠り所としたのが、3番目の「利は仕入れにあり」で業界動向や相場が不透明な中、現地での情報収集や情報操作に力を入れ、見通しがある程度たった段階でリスクを取って買い付けに走り、読みが当たれば先行者利益を享受する、というものです。

つまり、想定する相場よりも確実に低い原価で仕入れる仕事だけに集中し、販売する以前に買い付けた時点で勝負を決めにいったということです。
とはいえ、相場がどうなるかは分からないし、安く提供できたとしても実際に3000トンもの大量のサバを買ってくれる「誰か」を探さなくてはいけないという仕事は残っています。

ノルウェーからどうやってサバを持ってくるかというと、20kgごとに段ボール詰めにした上で、冷凍コンテナー1本に大体1200箱、約24トンずつ積み込みます。3000トンだとコンテナーで125本です。

3000トンと言っても一匹ずつ売るわけではなく、数十トン、数百トンという単位で名義変更していくのでこの辺はシンプルで簡単です。

ここで私が取ろうとした戦略は、いち早く日本に帰り、まだ相場が不透明な中、自分で相場を作ってしまうということでした。何を目指したかというと、端境期でサバの加工原料を少しでもいいから手当てしたいという干物屋さんや問屋さんを見つけて、コンテナー1本でもいいから自分の言い値で売ったという事実を作ってしまうということでした。販売に関してはこの電話1本の実験が全ての鍵でした。

幸いあてをつけた問屋さんが数件の干物屋さんからの注文でなんとかコンテナー1本分のサバを買ってくれることになりました。あまり低い値段を付けて売り逃げようとすると業界他社の利益も圧迫することになりますし、当然自社の利益も減少するので、まずは原価の1.5倍というこの業界ではほとんどありえない目一杯の高値でオファーしました。結果的にそれが通ってしまったので、恐ろしいですがそれが相場になってしまうということです。後はその実績を流布して、はったりをかまして駆け引きをしながら数社の大口客に飛び込み営業しても全量を1ヶ月で売り切ることができました。最期の部分の素人が勢いで一気に販売していくというのは若さや無知があったからとも言え、今の私に同じことができるかというとわかりません。多分違ったアプローチを取ることになると思います。

やることは変わっても冒頭にあげた3つの重要ワードは、これからの時代も変わることなく重要ですので、ぜひ日々のビジネスシーンでも意識していただければと思います。


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