前回の話の続き。
友人が
「ヒーリングしてみてもいい?」
と言って私の手に触れたとき
私の手は重くなった感じがした
目をつぶって
いくつか質問に答えているうちに
私は自分の答えがいつものパターンになってることに気づいた
感情を聞かれると
どう自分が思っているのか
どう感じているのか
分からなくなって焦ってくる
「それ聞いてどう思った?」とか苦手な質問だ
「こうしたらいいのにと思った」と答えると
「それ、感情じゃないよ」って言われる
感情?
感情?
感情なんて分かんないよっ
いちいち、感じたくないんだ
どうしたらいいか、ずっと頭で判断してきたんだ
追求しないでよっ
↑この思考がいつものパターンだ
考えても分からないしか浮かばない
自分自身も感じたくないから
感情にさらにフタをかぶせてる
いつもならうまくかわしてきた
相手とのこれまでのやりとりを考えて
こういうふうに持っていきたいんだなっ
こういうふうに言ったら喜ぶだろうなって分かるから
望む答えを言って
話を終わらせたり、まとめたり、違う方に持っていたり
私にはおてのもんだった
でも、彼女には通用しないのが分かってた
それっぽいこと言っても
涙流してみせても
きっと、同情も得られなければ
あきれられてしまうかもしれない
私は正直に
「どう感じるのか分からない」と言った
どんどん掘り下げてくるので
逃げたくなった
目をつむったまま
私は暗い暗い深い闇の底に落ちていく感覚になった
たいていはここで終わりだ
自分でも闇の中に落ちていく恐怖に
ストップがかかる
これ以上はどうなっちゃうか怖くて
自分自身でも掘り下げられなかった
でも、吸い込まれるように落ちていく私は
ずっと目が見ていることに気づいた
見られてる…
一緒に落ちてるのか
上から見ているのか
目だけがずっと私を見てた
人間の眼ではなかった
まつ毛ではなくふさふさの毛が生えていた
青白くて大きい猛禽類のような鋭い眼
目の周りは爬虫類の鱗のような硬そうな青白い皮膚
見られてる…
どこにも隠れられない
どこに逃げても
どんなに深い底までいっても
きっとずっと追いかけてくる
そんな感覚だった
落ちる
落ちる
落ちる
死んじゃうかもしれない
正気でいられなくなるかもしれない
怖い
怖い
怖い
なにかに吸い込まれるような感じがした
目をあけた
私は水底にいた
湖の底なのか
川の底なのか
海の底なのか
分からない
あたたかい感じだった
ゆらゆら揺れていた
時折視界に緑の葉のようなものがゆれる
海藻か水草のようなものがゆらゆら
あぁ、私はこの草か藻の一部なんだと思った
苦しくもなく楽しくもなく
ただゆらゆら揺れて水面をみてるだけ
しばらくして
あの目がいないことに気づいた
「あぁ、私が今自分で見ているからか」
目の前にあった水や草が
突然さーっと両脇に流れてひいていくのが分かった
私は友達の名前を叫んで
「流れていっちゃう、全部流れていっちゃうよ」
私を隠していたものがなくなっていった
もうこれじゃ擬態してても丸見えだと感じた
あ~ぁ、みつかっちゃった
私からでた言葉
自分でも驚いた
私はずっとこうやって
こんなとこにいたんだ…
あの目は最初友人のものだと思ってた
なんでも見透かされているような
どこへ逃げても追ってくるような
でも、目を開けて水面をみあげたとき
あれは自分の眼だったのかもしれないと思った
意識的に自分さえだませても
本当の自分は全部知っている
何をして何を考え何を感じているか
ずっと客観的にみるクセがついて
主観的にみることを忘れていたけど
どちらも自分でみていたことだから
全部知っている
友達が言った
「私が受け取ったメッセージはホルスの目だったよ」
ホルスの目?
あとでググったらちょっとなるほどと思った。
私を見ていたのは確かに左目だった。
ホルスの目の左目は「ウジャトの目」といって
「全てを見通す知恵」や「癒し・修復・再生」の象徴(シンボル)らしい
なるほどね、
なんでもお見通しってことなんだな
もう、みつかっちゃったんだよなぁ
この感覚は不思議な感じだったなぁ
ばれたけど、どうしようって感じでもないし
え、こんなとこにいたの?って
プッて笑っちゃう感じ
こんな長い間隠れて
この空白の時間を
どう取り返そうかでもなく
もう今さらでもなく
これはなんだろうな
いつの日か笑い話になるような
私は小さいころに
すごく悲しくて苦しい思いを
毎日のように感じていたのが
あまりにも辛すぎて
感情を殺すとか
何も感じないようになりたいと思い
その目的を水面下で着々と遂行していた
最近になって
感情を感じたいって思うようになって
目的を真逆にしようとするもんだから
本当に簡単ではなっかった
目的を変えるってことは
今まで40年やってきたことが
全部無駄になるかもしれないし
意味なかったになるかもしれない
でもそうじゃないかもしれない
この先なにがあるか分からない
なにもないってことはないな
でも、はじめに目的を決めた
幼いころの自分と今の自分は
全然違うし
その時だって
嬉しいも楽しいも感じたくないなんて
思わなかったはずだ
私は「10か0の両極端の人」らしいので
その通りにしてきちゃったけど
とにかく今はやっと
自分の居場所みつけることができたので
自分の場所に戻ろうと思う
私が擬態してたアイテムを
脱いで取って落として剥いで
隠れていた場所
纏っていた鎧
たくさん造った壁
いっこいっこ手放していきたいなと思った
ありのままのわたしへ
ありがとう


