ゆめをみた。










真夜中







除雪車の音で目が覚めた

おもての通りを行ってはもどる轟音







天井を見つめたまま

足元の湯たんぽを引き寄せて

ふくらはぎの下にはさむ

ゆめの記憶を、たどる







喧騒

顔の見えない誰かに

頭を抱きかかえられて

俺は泣いてる







どこなのか

かすかに甘さをふくむ匂い

頬にさわる髪、汗







『泣くな』







顔の見えない誰かが

耳元でささやく

ゆめの中の俺は、でも、

どうして泣いていたのかわからない







さっきよりも大きく

地響きみたいにうなる除雪車







ふいに、

まーくんの背中を思いだす







電話越し

その声に、言葉に、

大切に呼びかける名前に

愛おしさをこぼしてた







それから、

翔くんの表情








かつての誰かを想って

戸惑いを隠せずに

何度も目を伏せた

友達の、恋人








キズがうずいただけ

翔くんが

わるいわけじゃない








それでも、








まーくんに言えない

小さな秘密ができたみたいで

少し、息が苦しくて








地響きが遠くなったから

目をとじた







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