2月4日から全国公開が始まります。
「夢みる小学校」という映画。
オオタヴィン監督が手掛ける
これからの学校の在り方のヒントが
つまった作品です。
この作品では、
大人も子どもも夢を描くことのできる学校、
毎日通いたくなる学校を取り上げています。
①私立
子どもの村小学校(全国に数か所ある)
②公立
世田谷区立桜が丘中学校(前西郷校長の時代)
③公立
伊那市立伊奈小学校(ずっと続いている)
先日のイベントでは、オオタ監督の
ファシリテートのもと、
上記の3校の校長・元校長先生が
パネルディスカッションに登壇されました。
ここで少しまとめておきたいと思います。
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①人間の健やかな成長は比較によって阻まれる。
通知表やテストの点数などの数値化により、
劣等感や優越感などの二元が生まれ、
コンプレックスを抱く原因にもなる。
先日聞いたセミナーでは、デンマークの小学校には
通知表はないし、シンガポールも数字は廃止したとのこと。
②暗記の教育の時代は終焉を迎えている。
これからはスマホをもって受験するようになり、
そうしたら暗記力や計算力や知識力は
人間に求められているものではないのは明らか。
AIが今後45%の仕事を担っていく中、
人間が力を発揮できる分野としては、
個性や独創性、アイデアやイノベーションの分野で
どれだけロボットに心を吹き込めるかという点。
あきらかに、点数では測ることのできない分野。
③文武両道の誤解(by オオタ監督)
頭もよくてスポーツもできてという意味だと
考えている人も多いとおもうけれど、
これは明治維新の後に後付けされたもの。
本来、日本で「文武両道」といえば
文=非認知能力であるINPUT
武=身体知であるOUTPUT
ということで、INPUTもOUTPUTも
バランスよくできる人間のことを指していた。
わたしたちはその本来の意味をもう一度
取り戻す時期にきているのでは?
④教育の本質って?
親・先生・社会から教え込まれた"ものの見方"を
子ども達に教えていくのではなく、
子ども達が自分たち自身の"ものの見方"を作り、
大人はそれを援助していく。
子ども達が自ら、自分たちで
「生き方そのもの」を創っていく。
アメリカのジョン・デューイsaid:
1オンスの経験は1トンの知識に優る。
⑤子どもの村学校
★自分の座る椅子は自分で作る
→従来の学校だと、模範が示され、
それに即して模範に近い形になったものが
点数化されて評価される。
→子どもの村では、自分の座りたい椅子を
その時の技術力や発想力を最大限に使って
自分で設計して自分で組み立てて作れたらOK!
⑥桜が丘中学校
★中学生らしいって、何?からスタート。
カラーやピアスをせずに白いソックスを履くことが
中学生らしいの?
それって本当に中学生の姿なの?
きちんとお行儀よく座っている中学生は
本当に中学生らしいの?
★自由に自分の話したいことを語り、
感情を出して表現していく。
自由にのびのび、生き生きと生きているのが
中学生らしいのではないの?
★全員が楽しく3年間過ごせる=夢の中にいるように過ごせる
そんな中学校を目指した。
⑦伊那小学校
1965年から通知表は廃止
学習指導要領に沿って
全体の40%は「プロジェクト」として
授業を確保。
子どもの村 堀先生
桜が丘中 西郷先生
伊那小 福田先生
Q.学校ってどんなところですか?
大人と子供がともに笑い合える、
なんだか笑えてくる、
早く明日にならないかな~と
大人も子供も思う場所。
大人と子供が影響し合いながら
共に生き、ともに成長する場所。
管理する・される場所ではない。
校内の銅像「詩境」にあるように、
学校は大人にとっての職場ではなく、
子どもとの邂逅(出会い)の場。
Q.校則って何ですか?
生活全体が道徳であると考える。
他のみんながより楽しく、より自由になるように
するための、子ども発信の約束。
自由な学校だからこそ、約束もたくさんあって
ひとつひとつを子ども達が決めていく。
大人が都合のよいように育てたりしつけたり、
子どもを型にはめるものではない。
興味がないと子どもは伸びないし育たない。
ルールは自分たちで作るもの。
お互いの生活を尊重し合うためのもの。
周りの友達に迷惑をかけないこと、
周りの人が嫌がることをしないために、
子ども達から出てくるもの。
Q.発達障害って?
実は支援が必要なほどの
重度なものである場合は少ない。
入学の際は薬はやめてもらう前提で受ける。
障害は本人にあるのではなく環境にある。
環境を変えたら障害ではなくなることも多い。
本校には支援級がある。
個別の支援は必要と考える。
本人たちが生きやすくするためのサポート。
Q.最後に一言!
★公立ではまず先生たちに時間とお金と自由が必要。
それをなくして子ども達を自由にはできない。
★しつけはしない方がいい。
自分や周りの人がどうしたらHAPPYかを
考えて行動していくようにすれば
しつけは不要。
★しつけ=がまん=力で押さえつけられるもの
である限り、その力がなくなると爆発する。
好きなものは自分で我慢できる。
自分発信であることが大事。
ということで、わたしなりにまとめてみました。
個人的には、このような学校が
公教育で成立することが
本来的な意味を持つんだろうと考えています。