『書斎の窓』11月号 | 古本屋へGO!

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古本屋でのちょっと得した話や本をさがしまわったときのエピソードなどを中心に書きます。他にはフリーペーパーやPR誌の紹介など,本や雑誌に関わるささやかな日常を書いていきたいと思っています。

野家啓一氏の巻頭エッセイ「東北の地から」,今回のテーマは「リスク社会」。社会学者 ウルリッヒ・ベックの論を紹介しながら,かつては科学技術が生み出す富を分配していたはずが,科学技術が生み出すリスクを分配する社会になってしまったことを指摘しています。



社会学者 佐藤郁哉氏の連載「不思議の国の社会調査」が今回取り上げているのは「質的調査」。統計データを柱とする「量的調査」に対して使われることが多いように思いますが,その厳密な定義となると明確にはなされていないというのが意外でした。

結論としては,量的調査と質的調査をうまく組み合わせた方が,よりよい研究となるということでした。



関口礼子氏の連載「カナダのアラセブン」は最終回。最後のテーマにふさわしく,定年後の生活についてふれたものでした。退職前の自分の仕事や役職の延長でやっていると周囲とうまくいかないという事例を紹介。

また,40~60代は自分のパートさえ演奏できればよい「オーケストラ団員」生活だが,60~80代は作詞・作曲・演奏から営業まで全て自分でこなす「シンガーソングライター」生活で自立を,というご意見に考えさせられました。

近い将来,私はどんな引退生活を送っているのでしょうか。


中村圭志氏の連載「児童文学の宗教的ロジック」,今回のテーマはミヒャエル・エンデ。子ども向けファンタジー作品は一見,心の解放を描いているものの,他の大人向けファンタジーでは心の迷宮性が反映されているのだとか。

物語自身はハッピーエンドを要求しても,作家自身は世の中そううまくいかないことを認識しているがゆえのジレンマが物語に深みを与えて名作にしているのだそうです。



今月号で注目した新刊は次のものです。


藤村宣之『数学的・科学的リテラシーの心理学 ~子どもの学力はどう高まるか』

※PISA調査による日本の子ども達の学力問題が取りざたされたのは少し前でしたが,その後どうなったのでしょうか。



環境社会学会編『環境社会学研究』第18号

※特集は環境社会学にとっての「被害」だそうです。確かに被害=経済的損失だけではないでしょうし,あたりまえのようでいて実は難しい問題のような気がします。