能楽師 安田登氏のエッセイ「東北を歩きながら,考えたこと」は,若者達と『おくのほそ道』をたどる旅の記録。旅先で俳句を詠むという行為が彼らの心に変化をもたらしたようです。
興味深かったのは,能におけるワキとシテの「ワキ」とは「分ける」存在であり,能動的・主体的なものだということです。ワキ役なんていいますが,ただ脇にいるのでなく,その場を取り仕切る重要な役だったのですね。
浜田玖美子氏の連載「百年の森,百年の仕事」は二回目。針葉樹と広葉樹をとりまぜた,良い山の事例が紹介されています。でも,そんな山にも転機が…というところで終わっているので次回が楽しみです。
三砂ちずる氏の連載「地縁・結縁ものがたり」,今回は英語をめぐる話題です。
英語ネイティヴは英語を話せない人をバカにしがちだが,他の言語の国では自国の言語を話そうとする人に寛容で励ましとなる言葉をかけてくれるというもの。
また,東南アジアの国々では,適当な英語が通じてしまうので,日本人としては英語がへたになってしまうという感覚が生まれるほどだそうです。
ネイティヴ並みの発音で話そうなんて考えすぎてコンプレックスをもってしまうのは日本人くらいなのでしょうか。ジャパニーズ・イングリッシュで通じるというのは,なんだかうれしい気もします。
神田有氏の語る春秋社小史は2回目。『大菩薩峠』や『世界大思想全集』がヒットした春秋社が続けて出したのは,なんと探偵小説だそうです。現在のラインナップからは信じられないですが,夢野久作,江戸川乱歩,横溝正史,海野十三,小栗虫太郎という豪華執筆陣で出版していたというのですから,すごいです。
新刊で注目したのは次の本です。
スーザン・トムズ『静けさの向こうに ~ピアニストの思考』
※イギリスの著名なピアニストによるエッセイだそうです。「小川典子 訳」とありますが,ピアニストの小川典子さんでしょうか。