今回の特集は中込正樹氏の新刊『経済学の新しい認知科学的基礎』です。同書を読んで理論経済学の立場から酒井泰弘氏が,認知科学の立場から佐伯胖氏が評価しています。
酒井氏は総合的な人間科学を目指すのならその元祖ともいうべくアダム・スミスにもっと触れて欲しかったと述べつつも「経済学における人間の研究」再生につながる部分を評価していました。
確かに数式化が進むと「人間」の部分は排除されてしまいがちです。しかし経済活動をしているのは個々の人間なのですから人間の行動をとらえることが必要なのかもしれません。
佐伯氏もまた今までの経済理論と実際の人間行動が乖離している点を指摘しています。自著『「きめ方」の論理』(東京大学出版会)の中で経済理論の解説と批判を扱ったエピソードを紹介しつつ,中込氏の考えに共感していることを認めています。
カーネマンの「心的シミュレーション」とかガレーゼの「身体化シミュレーション」などよくわからない用語が出てきましたが,逆に興味がわいてきました。佐伯氏の著書も読んでみたいです。