丸の内のOLになって嬉しかったことの一つ、それは「制服」だ。
長年、マスコミという自由な雰囲気の仕事をしていたため、9時~6時、制服といういかにもOLという感じがとても心地よかった。
しかし、ある日気づいた。丸の内のオフィス街に制服のOLさんの姿はほとんどいないことに。
洗練された華やかなファッションに身を包み、颯爽と歩くOLさん達。時には外国人とペラペラの英語で話しながら歩く女性とすれ違うこともある。
あれ?私の描いていたランチにお弁当を広げるOLさん達はどこ?
そうこうしているうちに、わが社にも時代の流れか、制服廃止の通達が回ってきた。発端は、いつも何かとお騒がせな私の部署に異動してきたOLちゃん。
伝統を重んじるわが社にとって、女性の制服廃止はOLたちに何やらものすごい勢いで歓迎された。「こんな地味な制服を着ていると、仕事をする気がなくなる」と、制服廃止を訴えたOLちゃんは、社内の革命児的な存在になった。
「機能的で、実に楽ちん」と非常に制服を気に入っていた私は、かなり凹んだ。
制服には、仕事以外にも実に役立つことがあるのをみんな知らないらしい。
オフィス街を制服で歩いていると、実によく道を聞かれる。昔から街で道を聞かれることが多い私だが、もちろん丸の内でもそれは変わらなかった。
で、ある日、皇居の中にあるレストランに同僚とランチを食べに行ったときのこと。
お土産屋さんのオバチャンに「あなた達、銀行にお勤めの方?」と聞かれた。
なるほど、と膝を打った。
丸の内ではよくテレビの取材をしているが、アンケートに答えてくれませんか?的なことも聞かれたことがある。
部長のおつかいで本屋さんで探していると、店員さんと間違われて○○○という本はどこか?と聞かれたり。こっちが聞きたいよ、と思いながら、いえ、違いますと笑顔を返したこともある。
それもこれも、私が聞きやすいタイプであるのもあるにはあるかもしれないが、やっぱり制服のせいなのだ。
制服=いい人そう。という実にシンプルな図式である。
そして、丸の内で制服はとても目立つ。
話は変わるが、ダサイ制服の廃止を訴えたOLちゃんは、さっさと退職していった。私服になって毎日カワイイ格好で出勤し、ご機嫌だったのもそう長くは続かなかった。辞めた理由はもはや制服ではなかったらしい。
しかし、今も私服はそのまま適用されている。
私服になったのは、私の部署と経理部、総務だけ。あとの部署は制服を着ている。
私服も制服もどっちもOK的な雰囲気が定着しきた頃、今ごろまた一部の部署にあらたな制服戦争が起こったらしい。
時々話をする程度の人事の女性が、ある日、新しい制服を着ていた。
あれ?新しい制服?と聞くと、買ったの、これ通販で。
へぇ~そんな制服みたいなの売ってるんだ~
と軽い気持ちでいると、次の日、ランチで実は……。という話を耳にした。
お上から、私服を着なさい、的なことを言われたらしいとのこと。
ほぇ~びっくり。
別に人事は立場的に制服でもいいんじゃない、私たちの部署は事務用の制服も廃止になってしまったけど、人事は制服があるんだから着たい人は着てもいいんじゃない?
トイレで会ったら、人事の女性が何やら思い詰めた様子なので、疑問を言ってみたら、涙ぐんで気持ちをわかってくれる人がいて涙がでてしまった、らしい。
まぁあまり思い詰めないでね、会社っていろいろあるよね、的ななぐさめの言葉をかける。
単なる制服でここまでOLの気持ちを揺さぶるものだとは。制服戦争、次はどうなることやら?