バンクーバーオリンピック初日、女子モーグル決勝は、上村愛子が惜しくも4位に終わり、悲願のメダル獲得にはならなかった。
愛ちゃんの人気はすさまじい。決勝までジリジリとその時を今か今かと待つ間、愛ちゃんを起用した沢山のスポンサーのCMが何度も何度も繰り返し流れる。
誰のせいでもないさ
人はみんな鏡だから
勇気を出して
虹を描こう
越えて
越えて
越えて
悲しみや涙はいつしか
懐かしい思い出に変わる
バックにゆずの『虹』が流れる。愛ちゃんがスタートラインに立った瞬間、母は両手を組み合わせて、祈るように見つめる。
順位なんてどうでもいい
無事で滑ってくれさえすれば
その瞬間、愛ちゃんが白い雪を蹴り上げ、空高く舞う。
まだもう少し心配かけてしまいそうです。ごめん。
一番好きなCMだ。
お母さんのためにも、愛ちゃんにはメダルをあげたかった。
愛ちゃんが見事に滑り終え、二位にこぎつけた。残す滑走者は上位四名のみとなった。
転べばいいのに
不謹慎にもそう祈るように画面を見つめていたら、その願いが通じて一人、また一人と転倒してしまった。
あと二人。
しかし、さすが王者アメリカ、素晴らしい滑りを見せつけて雄叫びを上げていた。愛ちゃんは三位。
いよいよ最後の滑走者になった。愛ちゃんのメダルが見えてきたところで、最後の最後にアメリカにパーフェクトな演技を見せつけられた。
四位だった。
戦い終わり、こぼれる涙をおさえられない愛ちゃんがいた。でも、今朝のニュースでは、実に晴れ晴れとした笑顔が綺麗だった。たくさんの支えてくれた人たちに感謝の気持ちが溢れて、涙が止まらなかったと、愛ちゃんは言った。
愛ちゃんは中学生の時に一人旅で訪れたバンクーバーで、モーグルと出逢った。
大好きなモーグルが、いつしかメダル獲得の重圧になり、苦しんだ時期もあったという。
キツイ練習、たくさんの涙を流した戦いの日々。そのすべてを乗り越えた愛ちゃんの、晴れやかな笑顔は、私たちに大きな感動を与えてくれた。
