五月になり、丸の内の通り沿いには早くも紫陽花が飾られている。
アジサイと書くより、紫陽花と和名で書くほうが好きである。最近のお花屋さんでは、和名よりも片仮名読みが好まれるそうだが、和名にはその花の名前の由来が伝わってくるし、声に出したときのなんともいえない響きが風情があって、昔の日本人の美意識の高さが感じられる。
去年は友人と紫陽花の季節に鎌倉を散策した。以前から一度行ってみたかった小説に登場するビーフシチューの店を訪ねたが、あいにくオープン時間が終了していて、またいつか行きたいと話していたのを思い出した。
鎌倉の、野生の中にひっそりと咲く紫陽花と、最先端のブティックが立ち並ぶスタイリッシュな丸の内に、ファッションアイテムの一つとして溶け込んでいる紫陽花。どちらもまったく対照的な美しさを放っている。
