「ぼく、実家広島なんです」
わ~、もみじ饅頭だァ~。
印刷会社の青年から、新年のごあいさつにと、もみじ饅頭を2個いただいた。
それと、卓上カレンダー。
営業マンの彼はものすごく頑張っている。
初めて飛び込みでチラシを持ってきた時、あまりの熱意に思わず胸を打たれた。
だが、一度だけしかお仕事を依頼したことがなく、
その後も何度か割引キャンペーンがあったりするとやって来たりしていたが、
ごめんね、とお断りしていた。
にしき堂のもみじ饅頭。
実家の広島で買ってきた、と彼は言った。
きゅん。きゅん。きゅん。
いい子だよ。
こんな青年がまだいたなんて。思わず胸が熱くなった。
彼の隣りに突っ立った、ぼんやりした男性が名刺を差し出した。
「店長」 だってさ。
へん。名ばかり店長め。
部下の頑張っている姿を見てキョトンとしている。
「また何かありましたら、そのときはよろしくおねがいします。」
不器用そうになんどもなんども頭を下げる青年の頭に、
以前はなかった白髪がびっくりするほど増えていた。
ちくりと、胸が痛んだ。
帰り道、もみじ饅頭を早速一ついただいた。
とっても優しい甘さだった。
家に帰ったら、彼に年賀状を書いてあげよう。
