医療崩壊を食い止めるには③ 僕の意見 | 陽気なインチョの日常と回診

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ふくやまです。 タコとタイと子午線のまち・明石(兵庫県)の小さな病院の院長です。消化器外科医で緩和ケアをやっています。マジメ2割+小ボケ8割のブログですがよろしくお願いいたします。



今日もそこそこ、まじめ。




さて、人の意見を先に挙げて、というのは

あんまり良くないんですが、

僕の意見を書かせていただきます。


「補助金で成り立っている公的病院」



シンポジストの先生が言いたい気持ちも良く分かる。

(昨日のブログ参照)

しかし、かつて県立の循環器病センターに籍を置き、

いまも近くのがんセンターに

手術の手伝いとおべんきょに行かせていただいているので

少なくともその2つの病院に関しては

医療従事者がどれだけ頑張っているかは、

よく分かっています。


ただし、そんなに忙しいのに

赤字

というのはその現場のスタッフが悪いのではなく

病院のシステムがおかしいのではないか?

とも思います。


また、

「全部、民間に売却して」

がどれだけ混乱を来たすか、も分かるので

簡単に賛成はできない。


ただし、都市部において

お互いの専門性もあまり変わらずに

県立と市立市民病院がすぐそばにあるのは、

もったいないと思います。


どちらも(県立も市民も)たいていの場合、患者さま減よりも

職員減で苦しんでいるから。


県の医療は

救命救急

(地域によっては循環器・脳神経も含む)

周産期医療

がん拠点病院

僻地医療

ぐらいでいいのではないかなあ。

(抜けているところがあれば教えてね)


あとは市民病院に任せていいのではないでしょうか。


税金で食わせてもらう病院から

税金を納める病院にしよう

というのも気持ちは分かる。


民間病院は(当たり前だけど)自分のお金で

(っていうか、銀行から借金して)

土地を買って、建設して、医療機器を入れて

自分たちで人を集めて

初年度から黒字を出すことを求められます。


自治体病院は県有地や市有地に

税金で建設して、医療機器を入れて

自治体職員を配置して、

赤字 が出る。


これはいかがなものか、と思うわけです。


専門性分化で必要とされない病院であれば

民間に売却でも

敷地を売却でもして、累積赤字の減額に充てること。

そしてまたこのことは

人員の効率的な配置につながるのではないかと

思います。

つまり

自治体病院の適正配分ができれば、

(というか、補助金を組める自治体病院を

 医療過疎地に配置できれば)

僻地に十分な人員を配置することも

ローテーションを組むことも

できるのでしょうから。


医療過疎地では、小さな市が

それぞれの市民病院を持つより

いくつかの市をカバーする

県立病院を整備するしかないのではと思います。

でなければ、共倒れしてしまう。

新しいピカピカ病院が建つのに

ドクターがいなくなった市民病院があります。

それも隣接したいくつもの自治体で

医師不足がドミノ倒しのように進行していく。

こんなことを続けていてはいけないんです。


青二才のたわごとですが、

このごろ、こんなことを考えています。

明日は、医師不足について

私見を書かせていただきます。


後記

兵庫県内でいうと、

淡路・柏原などは必要な病院と思います。

病院の内容を知らずに言うのはよくないのですが、

地域だけで言うと

西宮・塚口・加古川などは

他の自治体・民間病院が高度医療も含めて

充分対応できるのではないか、と思います。

その人員・予算を県北部・県央部にまわせないでしょうか?


僕も県立の現場ではほんとによく働く

スタッフのDrやNsを見てきました。

その一方で、自分の職場と違う病院に朝から

ストライキの呼びかけのビラを配りに来ている

人たちもいました。

うーん。




今日もそこそこ、まじめ。