昔、宇宙には神様がただ一人住んでました。神様の周りには誰もいませんでした。

ある時、神様は友達を作ろうと思いました。そこで神様はまず地球を作り、何十億年もかけて草や木、自然をはぐくみ、生命を大切に育て、そして最後に自分に似せて人間を作りました。



神様は人間と話をしたかったのです。やっと神様にも話し相手が出来ました。

人間は愛し合った者同士で恋をしました。
結婚をしました。子供を作りました。どんどん人間が増えました。

神様には一つの希望しかありませんでした。それは、みんなと仲良く暮らしていくこと。

最初の内は、人間も美しい心を持ち、神様といつでもお話しする事が出来ました。
神様は嬉しかったのです。いつも微笑んで、優しく人間達を見守っていました。



でも、
いつからか神様が想像していなかった困ったことが起きました。

人間が人と比較したり、多くの欲を持ち始めたからです。

人間は・・・


人よりも美味しい食べ物を沢山食べたいと思いました。
人よりも綺麗な着物を着たいと思いました。
人よりも大きな家に住みたいと思いました。
人よりも上の立場に立ちたいと思いました。


人間の欲はどんどんどんどん大きくなっていきました。



いつしか人間の心に、「欲望」と言う名の黒いものが灰汁(アク)のようにできはじめたのです。

神様とお話出来る人の数もだんだんと減ってきました。

神様は寂しくなりました。

でも、それでも神様は、初めて自分の話し相手になってくれた人間を愛していました。
このまま進めば、その灰汁(アク)が凝り固まって取り返しのつかない事態になることを神様は知っていました。

神様の声が聞こえなくなった人間達に知らせようと、神様は小さな災害をいくつか起こしてみましたが、それでも欲望の塊となった人間達は気付きませんでした。



いつしか時が経ちました。。
もうあれから何千年も経って、人間は21世紀というものを迎えました。

でも、もう神様の声を聞ける人間は、ほとんどいなくなりました。

神様はやはり泣いていました。もう人間に時間は残されていないからです。

気付いて欲しくて、
また昔のように、笑って話し合えるようにと、心配して心配して、神様は、いくつかの災害を起こしましたが、やはり人間は気付きませんでした。


もう、凝り固まった灰汁は、母なる地球全体を覆う所まで来てしまったのです。

神様の目には、はっきりと、その近い未来の光景が見えていました。

それからまた時が経ちました。

神様が予見した通り、もう地球に人間はいなくなりました。
また神様は一人ぼっちに戻ってしまいました。

地上には、何もかもが無くなりました。 何も無くなった地上をただ風がふいてました。



神様は何も無くなった地上を眺めていました。

神様の涙が地上に落ちました。絶えることなく落ちました。

それから後、神様はもう二度と人間を作ることはありませんでした。

 

遠い遠い昔のお話です。

私たちが二度と同じ過ちを繰り返しませぬように。

 

どうぞ、心許せる仲間を大切になさってください。

時空を超えて、とても大切な人たちなのですから。

 

 

※画像はネットからお借りしました。