ご無沙汰しております。
相変わらずの缶詰の日々です。
新作も最終回に入って、いろいろ手を加えて、
書き直したりしています。
まだ終わらないですが、ここまできたら納得いくものにしたいですね。
この新作の完成がずいぶん遅れたため、
後に控えている作品も急ピッチで進めなきゃいけません。
さて、全く休んでいないのですが、久しぶりに電車には乗りました。
先週末、雑誌のインタビューを受けたのです。
なんで、このタイミング?新作も出していないのに、と思われますが、
なんでもB級ホラー好きのライター兼女優さんが、
雑誌でホラー映画コラムを持っており、
『心霊病棟 ささやく死体』を取り上げていただけることになったのです。
奇しくも、その雑誌の出版元は、
いろいろお世話になっている竹書房。
雑誌はこれ。
うおっ、こわいっす。ホラーなんて目じゃないっすね。
よく知らないのですが、売れているそうです
この雑誌のほぼ巻頭のカラー1ページって、
すごいというか、いいのかいなという感じです。
聞けば毎号、マイナーなホラー作品を取り上げているそうです。
こんな作品いじられてナンボですから、
徹底的にやっちゃってもらえればと思います。
(ちなみに写真は今月号で、『心霊病棟』は8月号に掲載)。
せっかくの外出だからと、都心で軽くランチした後、
小洒落たカフェで約束の時間まで原稿書き。
まあ、やっていることは、自宅だろうとジョナサンだろうとマックだろうと基本同じ。
場末と違って、ぎゃひぎゃひ大声で話すおばちゃん軍団がいない分、はかどりますが。
夕方、時間通りに製作会社でインタビュー。
ふだん寡黙(笑)なのにしゃべり出すと止まらないという悪癖で、
一時間いろいろ話させてもらいました。
インタビュアーの女性は、雑誌が雑誌だけに、
どんな姐御サンが来るのかとドキドキしましたが、美しくも聡明な方でした。
先にも書いたとおり、ライターの他、女優などもされており、
あるジャンルでは知る人ぞ知る有名人です。
気になる人は『実話ドキュメント』で名前を確認してくださいね。
これもご縁ですから、今後何か仕事につながればと思います。
で、インタビューで彼女に指摘されたのですが、
「増村保造の影響は受けてますか?」
などと聞かれ、
あまり意識したことはなかったのですが、
たしかに増村作品における
○女優を魅力的に撮っている(特に若尾文子)
○モダンな映像美と脚本で、テンポ、リズムを重視する
という自分が好きな点では、少なからず影響を受けているかもしれません。
厳密に言えば、
拙作『最後の晩餐』と、
増村監督の代表作の一つ『盲獣』の類似性を指摘されたのですが、
私は『盲獣』も大好きな作品ながら、今まで参考にした意識はなく、
これも知らず知らずに影響を受けているのかと、新たな発見があってうれしかったです。
そのあたりはさすが女優の発想と視点が加わって新鮮でした。
『盲獣』は1969年の大映作品。
船越英二と緑魔子という個性派スターによる、今で言う“密室監禁飼育もの”です。
直接的な描写をほとんど避けながらも、
ここまで淫靡な映像と物語が紡ぎ出されるかと
10代の頃、名画座で見て衝撃を受けたものです。
女体をイメージした美術もシュールすぎて圧巻です。
黄金期の映画業界の名残というか、美術職人たちの凄みと底力を見せつけられます。
監禁ものでありつつ、そこは乱歩原作なので、
ホラー・サスペンスのテイストで、異常性愛をねっとりと見守る増村演出が冴えまくり、
異様な迫力のクライマックスまで片時も目が離せません。
なにより他作品でも十分魅力的な緑魔子がこの作品では超絶的に可憐で、
ホラーは女優を輝かせるという、
私が『フェノミナ』『サスペリア』で学んだセオリーが、
ここでも十二分に発揮されていることに、改めて気づいた次第です。
加えて、盲目の監禁男を演じた船越英二も素晴らしい。
私の世代だと、ドラマ『熱中時代』の温厚な校長先生のイメージですが
(若い人には船越英一郎の父親でしょうが)、
もともと凄い人だと噂で知りつつ、
この作品を初めて見たときのインパクトが『熱中時代』のおかげで三倍増になりました。
トータルでは『コレクター』の影響下で作られた作品と思いますが、
そこは増村&乱歩、船越&魔子のコンビで、本家をしのぐ傑作に仕上がっています。
思えば『盲獣』も名画座で見て以来です。
CSで録画した記憶があるのですが、
劇場では奇跡のニュープリントだっただけに、
できれば劇場で、せめてBDで鑑賞したいですね
(大映=角川ならリマスターのデジタル修復版も可能だよね。間違いなく買う)。
つか、改めて増村作品を全部見たくなりました。
傑作、名作も多々ありつつ、
『セ○クス・チェック 第二の性』とか『エデンの園』なんかの、
トンデモ映画も作っている辺り、それもまた卓越した個性と魅力の成せる技です。
まだまだ増村監督の足下にも及びませんが、
がんばって精進して少しでも近づければと思います。
原稿書きも思ったよりはかどったし、インタビューも楽しかったし、
たまには外出してみるものです。
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某議員さんが脱いでいた『盲獣と一寸法師』とは関係ありません。