【施設職員のための介護記録の書き方】第22回:介護場面別 記録文例—移動・移乗 | 梅沢佳裕(生活と福祉マインド研究室)

梅沢佳裕(生活と福祉マインド研究室)

このブログは、高齢者福祉、ソーシャルワーク、介護保険情報、研修やセミナー、福祉関連専門書の執筆活動の一端を情報発信し、関係者の皆さまへ活動内容をご紹介することを目的としてして運営しています。

利用者には、その状態像に応じた移動・移乗の方法があります。一人ひとりの方法や手順を具体的に書くことで、時間の経過とともに利用者のADLにどのような変化が生じたのか記録を通じて確認することができるようになるとともに、職員間でも他のスタッフがどのような方法で解除できているかの確認やチェックにも活用できます。

●移動・移乗の場面での介護記録の観察ポイントは次のとおりです。

移動・移乗の方法・・・利用者のADLはどうか、利用者ごとの機能性はどうか、プライバシーは保たれているか

表情・・・移動や移乗をしている時の表情、不安そうな表情をしていないか

言動・・・移動や移乗をしている時の言動、不安そうな発語がないか

姿勢・・・便器、ベッドへ移った際の姿勢、車いす操作時の姿勢はどうか

福祉用具の選定や手入れ・・・車いすの選定は適切か、ポータブルトイレの位置は適切か
     メンテナンスは行き届いているか

●移動・移乗の場面での使える文例(下記の著書の一部をご紹介しています)
*自力歩行の見守りの様子
〇〇様と廊下ですれ違った。その際に介護スタッフが「先ほどもすれ違いましたね」と話すと、廊下を歩いて足の運動をしているのだと説明してくれた。〇〇様は、手すりにつかまりながら、ゆっくりと歩き、歩行練習をしている。
【記録ポイント】
「~見守りを行った」と書くだけではなく、具体的なやり取り(お互いの会話など)を書きましょう。

*歩行者を使用した移動の様子
〇〇様はパーキンソン病のため、歩行者で両腕を支えながら、少しずつ移動している。介護スタッフがそばで転倒しないように見守りを行った。10メートルほど歩いたところで、「疲れた」と話し、廊下の長椅子に座りたいと訴えた。
【記録ポイント】
歩行者を押しながら移動する利用者の様子を書きましょう。歩行者をどのように使用しているのか、どの程度の歩行が可能なのか、など具体的に書くようにしましょう。

*中・重度者の車いす移動の様子
〇〇様は車いすに座るが、体感バランスが悪く座位を保てずに右に傾斜している。介護スタッフが右脇にビーズパッドを挟み、剤を整えた。〇〇様は「あぁぁ」と声を出したため、「苦しくないですか」と改めて右脇の状況を確認し、後ろから操作して談話室まで移動した。
【記録ポイント】
体感バランスの悪い方や筋力低下している方など、車いすの座位姿勢はどのような状態なのか触れられるとよいでしょう。

【次回テーマ】第23回:介護場面別 記録文例—送迎

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このブログは、高齢者虐待防止研究を専門分野とする筆者(高齢者福祉研究☆梅沢Lab主宰)梅沢佳裕が、これまで発出されてきた論文、専門誌、Web、その他さまざまな知見や情報をもとに、上記の著書を参考にして「施設職員のための介護記録の書き方」として配信しているものです。
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