人材開発アドバイザー&研修講師☆梅沢佳裕のBLOG

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このブログは、私の講師活動やコンサルティングなどの仕事の裏側、見聞きした介護情報、時にはオフタイムの所感雑感などを日記のように綴っていきたいと思います。皆さま、よろしくお願い致します。

 

皆さん、こんにちは。ベラガイア17の梅沢です。

 

生活相談員が現場で乗り越える「対立と対話」生活相談員の仕事は、相談だけではありません。ときに“対立”の真ん中に立ち、“対話”を通じて橋をかける役割も求められます。


今回は、現場でよくある「職員間のすれ違い」や「家族とのギャップ」にどう向き合うかを、事例とともにご紹介します。新任相談員の方にも、日々に活かせるスキルをお届けします。

 


1.職員同士のすれ違い:よくある事例と対応

 

【あるある事例】

「Aさんのケアって雑じゃないですか?」と、介護職から相談が入る。
よく聞けば、排泄介助や声かけのタイミングに違和感があるとのこと。

このようなとき、相談員が注意したいのはすぐに仲裁しないことです。

■実践スキル:関係調整の3ステップ

  1. まずは“聞き役”に徹する
     - 相手の感情を受け止め、事実と主観を分けて整理
  2. もう一方の話も同様に聴く
     - “どちらが悪いか”ではなく、“どうしてそうなったか”を探る
  3. 共通の目的で対話を設計する
     -「利用者のために」という視点に立ち戻らせる
 

✅相談員に求められるスキル

  • 傾聴力と感情の分離
  • 事実ベースの整理力
  • 中立的に対話を進めるファシリテーション力

 


2.家族対応:感情と事実の“ズレ”にどう対応する?

 

【よくあるケース】

「家では元気だったのに、入所してから寝たきりになった!」
→実際は、もともと身体機能の低下が進行していたが、家族がそれを直視していなかったケース。

■現場で使えるポイント

  • 共感から入る:「お母さまの変化に驚かれましたよね」
  • 説明はシンプルに、根拠をもって:「医師の所見では…」
  • 他職種と連携して信頼構築:「次回は看護職も同席を…」
 

✅相談員に求められるスキル

  • 家族心理への共感的理解
  • 医療・介護の専門用語を「かみ砕いて」伝える説明力
  • チーム連携を活かした信頼構築の視点

 


3.対話の目的は「正しさ」ではなく「前に進める」こと

 

現場では、「どちらが正しいか」に意識が向きがちです。
ですが、生活相談員が目指すのは、“誰のための支援か”という本質的な視点に関係者を導くことです。

🔸対話の目的はこう整理できます

  • 感情を解きほぐす
  • 状況を共有する
  • 未来に向けた共通解を探す

 



4.小さな“ひとこと”が関係性を変える

 

相談員として何より大切なのは、「関係をつなぎなおす言葉の力」です。

たとえば…

  • 職員に:「○○さんの支えがあるから、現場が回っていますよね」

  • 家族に:「ご心配されるお気持ち、私にもよく分かります」

そんな一言が、緊張した空気を和らげ、信頼のきっかけになります。

 


5.まとめ:対立のなかに相談員の価値がある

トラブルや対立は避けたいものですが、
その中でこそ相談員の調整力・対話力が問われます。

困難な場面を「分断」で終わらせず、「理解と前進」につなげる――
そんな調整のプロフェッショナルとして、ぜひ現場での実践に活かしてみてください。

 


次回は、「相談員が“何でも屋”にならないために必要な視点」について、役割と専門性をどう守るかを掘り下げていきます。

 

 

 

 

 

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ベラガイア17 人材開発総合研究所の梅沢です

 

「大変だけど、やりがいもある」それが生活相談員のリアルです

「生活相談員って大変そうだよね」

「相談員って何でもやらされるポジションでしょ?」

 

私自身、これまで数多くの介護施設を訪れ、相談員の方々と現場の声を共有してきました。

 

その中でよく聞くのが、こうした“イメージ”です。

 

たしかに、生活相談員の仕事には大変なことが多いのは事実。でも、そこには他の職種にはない「やりがい」や「使命感」も確かに存在します。

 

今回は、生活相談員が「大変」と言われる理由と、現場で実感できるやりがいについて、現場の声と私自身の支援経験をもとにお伝えします。

 

1.生活相談員が「大変」と言われる3つの理由

 

①業務の幅が広く、責任も重い

相談員の仕事は多岐にわたります。利用者やご家族の相談対応から、入退所手続き、ケアマネとの連絡調整、地域とのつながりづくり、場合によっては送迎の手伝いまで…。その広さは「何でもやっている感覚」に陥るほどです。

 

ある特養の相談員は、私の研修後にこんな話をしてくださいました。

 

「午前中は契約説明、午後はご家族からの苦情対応、夕方はスタッフ間のトラブル調整…。どこまでが自分の仕事なのか、分からなくなってきます」

 

このように、相談員は“外にも内にも関わる立ち専門職“であり、その分プレッシャーや疲労も大きくなりがちです。

 

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②「何でもできる人」にされやすい

生活相談員の業務範囲は、施設ごとに業務分担が曖昧になりがちです。そのため、「できる人だからお願いしよう」と、便利屋的なポジションになってしまうことも。

 

私が在籍していたデイサービスでも、相談員が記録作成から備品管理、時にはレクリエーションの運営まで担っており、専門性とはなんだろうと考えてしまうもともありました。

 

「パソコンが得意だから資料作成も全部回ってくるんです…」

そんな声を受け、私は管理者向けの面談で「業務の適正化と明確化」を提案しました。

 

役割が整理されると、相談員も専門職としての誇りを取り戻し、業務効率が向上することを実感しました。

 

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③「孤独」を感じやすいポジション

生活相談員は、他のどの職種とも完全に同じ業務スタイルでは働いていません。もちろん役割や機能が部分的に重なっていることもあります。

 

しかし、相談員は介護職でも看護職でもなく、ケアマネジャーとも異なるジェネラリストという立ち位置の専門職です。

 

ある相談員が私にこう打ち明けてくれました。

「現場の大変さも分かる、家族の不安も分かる。でも、どの立場の“味方”にもなりきれず、板挟みでどうしたいいのか分からなくなってしまいます」

 

それでも、その方は「相談員はソーシャルワーカー。つまり利用者を擁護する専門職なのだから、自分がいなければ、この利用者の意向は吸い上げられない」と気持ちを奮い立たせ、職務に意味を見出していました。このような“存在価値の実感”こそ、相談員の力の源になります。

 

2.それでも「やっててよかった」と思える瞬間がある

多くの相談員が、悩みながらも仕事を続けているのは、「やりがい」の存在があるからです。私自身、現場でその瞬間に立ち会うたびに、「この仕事は素晴らしい」と確信します。

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①利用者や家族からの「ありがとう」

どんなに忙しくても、「あのとき本当に助かりました」といった一言は、相談員の心に深く残ります。

「あなたが担当でよかった」と言われた日のことは、私も今でも覚えています。

感謝の言葉は、相談員が“人と人の間”に立つ意味を再確認させてくれる瞬間です。

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②「前に進んだ」実感があるとき

以前、認知症の進行により日々不安定な状態だった利用者の受け入れをめぐり、職員間で対立が起きたことがありました。

私は相談員のとして、介護職・看護職・ケアマネとカンファレンスを開催。最終的には、全員が納得できるケア体制を構築できました。後日家族からお礼をいただきました。

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③「介在する意味」を実感できる

相談員は、「調整のプロ」として、目に見えない関係性を整える力も期待されています。

家族の葛藤を和らげ、職員同士の行き違いを解消し、地域の資源をつなぐ――。そうした一つひとつの介入が、確かに「誰かの暮らし」を支えているのです

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3.まとめ:生活相談員は「信頼の再構築」を担う専門職

生活相談員は、目立たないけれど、なくてはならない存在です。特に、利用者・家族・職員の信頼が崩れかけたとき、そこに介入して再構築できるのが、生活相談員の専門性なのです。

 

「大変だけど、やっててよかった」
この言葉を、私は何度も相談員の皆さんから聞いてきました。

 

それは、“人の人生”に関わる重みと、やりがいを受け止めているからこそ出てくる言葉だと思いま

 

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次回は「相談員に求められる“連携力”とは?」をテーマに、職種間調整のポイントと具体的な工夫について掘り下げていきます。お楽しみに。

 

 

 

 

 

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はじめに

高齢者施設の「縁の下の力持ち」、それが生活相談員です

「生活相談員って、結局どんな仕事をしているんですか?」
介護現場でよく聞かれるこの問いに、あなたは即答できますか?

 

特養(特別養護老人ホーム)やデイサービスなどの介護施設において、生活相談員は“なんでも屋”と思われがちです。しかし実際は、利用者・家族・職員・地域をつなぐ【連携の要(かなめ)】として、施設全体を支える重要な役割を果たしています。

 

本連載では、介護施設における生活相談員の具体的な業務内容から、ソーシャルワーカーとしての視点、やりがいや課題までをわかりやすく解説します。第1回の今回は、生活相談員の「全体像」に焦点を当てます。


1.生活相談員の基本的な役割とは?

生活相談員は、介護施設で以下のような役割を担っています。

  • 利用者・家族との面談と相談対応
  • 入退所(デイ:利用開始・中止や終了)手続き、契約・重要事項説明
  • ケアマネジャーや医療機関との連絡調整
  • 苦情対応や事故報告の対応窓口
  • 担当者会議やカンファレンスへの出席
  • 地域や行政との関係構築

 

単なる「事務職」ではなく、【利用者支援の中心的な存在】でありながら、事務・対人援助・制度理解・調整力すべてが求められるジェネラリストです。


2.なぜ「何でも屋」になってしまうのか?

看護職のように業務独占により役割が明確化されているわけではないので、生活相談員の業務範囲は施設や管理者の考え方によって大きく異なります。


結果、「とりあえず相談員に回しておこう」という風潮が根づいてしまうこともしばしば。これにより、制度上の業務を超えた負担がかかるケースも見られます。

 

あるデイサービスでは、生活相談員が毎朝の送迎から日中のレク支援、夕方の記録入力、さらには職員間トラブルの調整まで担っており、「結局、何が本来業務か分からない」という声が上がっていました。

 

 

3.「ソーシャルワーカーとしての機能」を忘れずに

生活相談員の基本資格としては、社会福祉士や社会福祉主事任用資格が求められています(※老人福祉法第20条の5より)。これは、生活相談員が「対人援助の専門職」としての役割を持つことを示しています。

 

つまり、単なる事務職や連絡係ではなく、本質的には「ソーシャルワーカー」としての視点と機能を持つ必要があるのです。

 

たとえば、家族が介護に疲弊して心身ともに限界に達しているケースでは、利用者本人だけでなく「家族も支援の対象」として捉える必要があります。このようなマクロ・メゾ・ミクロの視点が、生活相談員には欠かせません。


4.梅沢式・生活相談員の5つの目線とは?

筆者が現場支援で大切にしているのが、生活相談員の「5つの目線」です。

  1. 利用者の目線:「その人らしさ」を支える支援の軸
  2. 家族の目線:家族の事情や想いをくみ取り、共に支援
  3. 職員の目線:介護職・看護職との連携やフォロー
  4. 地域の目線:社会資源との橋渡し、情報提供
  5. 経営の目線:加算・稼働率・クレーム対応などの経営的貢献

 

この5つの目線を意識することで、「ただの雑用係」ではなく、施設経営に貢献できる【戦略的な相談員】へと進化できます。


5.現場で起こるリアルなエピソード

ある特養では、急な入所希望が舞い込んできました。家族は切羽詰まった様子で「どこでもいいから明日入所させたい」と言います。

 

生活相談員はただ「空きがありません」と断るのではなく、地域包括支援センターや他施設と連携して短期入所の受け皿を確保。そのうえで、ご家族に丁寧に状況を説明し、信頼を得ました。

 

「断るのではなく、別の道を示す」ことが、生活相談員の大切な対応姿勢です。


6.まとめ:生活相談員は「介護の橋渡し役」であり「調整役」

介護現場にはさまざまな立場・専門職・価値観が存在します。生活相談員はそれらをつなぐ通訳者であり、調整役でもあります。

そして何より、利用者とその家族の「暮らし」を支える専門職として、日々の小さな気づきと行動の積み重ねが求められます。

 

次回は、【生活相談員のやりがいと大変さ】にスポットを当てて、より深く実務の魅力と課題に迫っていきます。お楽しみに。

 

 

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