臨床スポーツ医学の特集は『スポーツ医学における応急処置』なので読んでおかなければいけません。
今回の特集で異彩を放っていたのが『咬傷・刺傷』です。
実例が時系列というか物語調で,そして患者の生の声がセリフとして書かれてあるのが恐怖を誘います。
簡単にまとめると...
症例1
ウォーキング中に足首をマムシに咬まれた初老男性が救急車で来院したが,本人は応急処置だけですぐ家に帰ろうとした。
今後の病状見込みを話して引き止め,渋々ながらも入院させた。
翌日,腫れが膝にまで達し,全身の筋肉痛や,物が二重に見える複視も生じる。
2日目には腫れは太ももから腰にまで及び,下肢全体が丸太状になる。
横紋筋融解症や急性腎不全を併発。
一時は重篤な状態に陥りかけたものの,1週間後に車椅子で退院。
症例2
岩登りをで頭上の岩場に手をかけたときに,潜んでいたマムシに手を咬まれた青年。
その他にも,マダニに咬まれると後に牛肉や豚肉などにアレルギーを生じることがあり,特にA型とO型の血液型がなりやすいなど。
そして執筆者の所属が赤穂市民病院と知って二度驚きました。
これら症例が赤穂でのものなのか定かではありませんが,市内で高齢女性がマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染したとの報道もありました。
赤穂のように自然が豊かだと,マダニもマムシもいないわけがなく,ムカデやハチも珍しくありません。
都会だからといって安全なわけでもなく,競技場周囲に植え込みがあれば危険生物が潜んでいるおそれがあります。
ロードレースで複数の選手がスズメバチに刺された事例もあります。
応急処置は知っておかなければなりませんが,実際に医務室で対応できることは限られています。
田舎の特に農家なんかだと自家製のムカデ油を作ってたりしますが,さすがに医務の備品に常備しておくわけにはいきませんしね。
その他にも今月号は心停止・脳震盪・熱中症など生命に関わる内容が多いので,スポーツに関わる人は必読です。
今週土曜は姫路長距離記録会で医務・救護活動。