昨日までの投稿をご覧になって、
「いいな、こんなところ住んでみたい!」
って思われた方もいるかと思うんですが、
たぶん、これ↓見たら ひるむと思う。。。(笑)
ゲスト滞在用のバンクハウス近くに設置された、公衆電話ボックス。
さすがに公衆電話はないのですが、ふつうの電話が置いてある。
つまりですね、、、
インターネットにつながらないの!
4GもWifiも全滅!(テルストラは1本だけバーが出るところもあったけど)
私は2泊だけだから、なんともいえない解放感、自由な気分を味わっちゃいましたが、
これが毎日だったら、どうだろう?
ま、慣れるだろうけど。
静かに暮らすにはいいけど、ネット使えないとビジネスはしにくいだろうね。
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それはともかく、バリーの愚痴を聞いてあげてください(笑)
これが、単なる愚痴ではなく、とっても興味深いんです。
バリーはクリスタルウォーターズが設立された直後から参加している古参メンバー。
70代男性。離婚2回して、今は一人暮らし。
このコミュニティには、土地全体を管理する法人と、運営する法人があって、その代表メンバー7名は住民投票で選ばれることになっています。
だけど、ここ数年は候補者自体、7人も集まらない。
誰もやりたがらないのです。。。
PTA役員みたいな(笑)
それで仕方なく、というか、ある意味ミッション性を感じて、その法人運営メンバーを継続しているそう。(ちなみにこの役割は無給。ボランティアです)
その運営メンバーのミーティングがちょうどあったのですが(みんな遅刻して集まる)、ほとんど年配者でした。
バリーの愚痴ポイントその①:後継者がいない。
子どもを育てるには素晴らしい環境で、子育て世代はけっこういるのですが、ある程度子どもが大きくなるとコミュニティを出ていってしまう。よって、ここに残る若者がいない。
70を超える初期メンバーがなんとか運営している状態だけど、将来どうなるんだろね?
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「自給自足は持続可能とは限らない。」
だから、外部からも購入する。
ということは、共同体的に見ると「輸入」も必要としているわけで、
ということは、輸出入をするための「商材、資材、お金」が必要。
ところが、ここに集まってくる人たちは仕事しない人、収入がない人、
ビジネス(起業家)マインドがない人が多い。
少しでも共同体の収入にしようと、共有地に竹を植え、たけのこを輸出しているが、これさえ反対する人がいる。
「今年はコロナでレストラン需要がないから、タケノコいっぱい余ってるんだよ。」
ってことで、その場でたけのこ掘ってプレゼントしてくれました。
新鮮なタケノコ、めちゃおいしかった~~~!!!
孟宗竹の子、バリーの庭のカフィアライム、天然酵母ベーカリーのデニッシュ。
今までにチーズ製造や、共有地での大規模農業にチャレンジした人もいたが、なかなかうまくいかない。
バリーの愚痴ポイントその②:ビジネスできる人がいない。
クリスタルウォーターズの名前をブランド化させれば、いろんな商品が作れると思うんだけどねえ。フィンドホーンみたいにフラワーエッセンス作るとか、クリスタルウォーターズで育った植物をつかったコスメとか、クリスタルウォーターズで採れるクレイとか・・・(半分冗談で半分本気)
一方、天然酵母(サワードウ)を使い、薪オーブンで焼いたパンを手作り販売しているベーカリーは、数少ない成功例だそう。
たしかに、ここのパン、とーってもおいしいです♪ おすすめ☆
可愛らしい日本人女性がベーカリーで働いていました。
2年前にフランス人のご主人と一緒にここに越して来て、ベーカリーのビジネスを購入。創業者から1年間トレーニングを受けたそう。
マダガスカルに長年住んでいたので、都会生活に馴染めなくて、自然豊かなクリスタルウォーターズが心地よいそうです。でも、「お刺身食べたり、温泉はいったりしたいなー」と。(それは私も同じこと)
「日本にもこんなコミュニティ作りたいな」という夢も語ってくれました。
こんど、ゆっくりお話ししてみたい素敵な女性♪
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もうひとつ、これはもしかしてオフレコなのかもしれないけれど・・・
1エーカーという広大な土地付きの家が2千万円程度で買えてしまう。
そのうえ、維持費が非常に安い。
とにかく生活費が安く済むもんだから、
低所得者層を引き寄せてしまい、
DVとか機能不全な家族とかは (ここに限らずあることだから)まあ仕方ないとして、
そもそもパーマカルチャーの理念に協調しない人たちが来てしまう。
逆に、投資目的で家を買う人も困りもの。
共同体に貢献してくれる人に来て欲しいのだが。
管理法人への管理費用もわずかなものなのに、それすら住民から値上げに応じてもらえず、法人は火の車。
近年、特にブッシュファイア(山火事)の被害が心配されていて
その対策費用が必須なのに、資金がなく困っている。
(去年、近隣が燃えたことで、その危機感は住民に伝わったようだが…)
法人の主な収入源は、2週間のパーマカルチャー・ワークショップ。
1回開催すると100万円ほど儲かるのだが、
今年はコロナで開催が限定されてしまった。
バリーの愚痴ポイントその③:資金不足。
理想郷にもお金は必要なのだ。
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パーマカルチャーの理想と、人間味あふれる住民たち、そしてワイルドなネイチャーの狭間でなにかと苦労が絶えないバリーさん。
2000年頃には、日本の雑誌にも紹介されたりしていましたが、ここに書かれた記事ほど 現実は「ビューティフル」ではないようです。
(もちろん、楽しく暮らしている人もいるでしょうけどね…)
パーマカルチャーの理念に共感する人ばかりなら、まだ話は早いけれど、まるで政府の福祉施設みたいな使われ方になっちゃうと。。。
いったん土地を購入すると そこは100%私有地になるので、管理法人のコントロール外。
「ご協力のお願い」はできても、法的強制力はない。
(どこかの国のコロナ対策みたいな・・・)
その結果、ゴミ溜め場みたいな庭になっちゃってる人もいるし、
隣の敷地で(めちゃ離れているのに)やっていることが不満で訴える人もいる。
家ロットを購入したはいいけど、すぐに気が変わって出て行ってしまう人もいるし、
賃貸契約も各自に任されているから、意図が違う人が住みだしたりもする。
ルールもだんだん妥協されていって、今でもなんとか死守しているのは
例の犬猫禁止令 だけみたいな。。。
(これもこっそり破る人はいるそう…)
「もっとルールを厳しくしては?」
と聞いてみたら
「いやいや、そんな。ルールで縛られたりしたら、ボクだってここに暮らそうとは思わなかったよ」
共同体 と 個人の自由。
これもバランスが難しいところでしょうね。
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バリーは悟ってました。
「結局ね、それが人間ってもんなんだよ」
どこに生きていたって、
いろーんな人がいて、人それぞれだから、コントロールできないのだ。
混沌とした現実を生きるしかない。
それでも、パーマカルチャーヴィレッジ運営というチャレンジは遣り甲斐がありそうです。
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私はあそこに住みたいとは思わなかったけど、
『自然と共存する生き方』に近づけていくヒントをもらった気がしました。
いじられていない自然って、厳しいけれど、やっぱり心地がいい。
こころもからだもナチュラルに健康になる、第一歩かもしれない。
人が生きる上で、環境って大切だよな…と改めて当たり前のことを思いました。