○浅くひびく音は要注意
音を上げていく練習で、一番上の音が浅くひびくことがあります。
これは、今あなたの声のなかでは歌に使えると思われる声ですが、トレーニングでは、まだOKとはいえません。
この音を低い音と同じように身体から、広くひびかない、しっかりした音として出してください。
この音の次の高さの音をつくるのに、その音に低い音と同質の声の幅と強さが欲しいのです。
ポジションを変えて声を伸ばしていくのでなく、同質の音を同じポジションで少しでも上まで一音ずつ広げていくのが、ベースの声域を広げるための最良の方法です。
途中で高く聞こえる細い声となってしまっては、その先をつくっていけません。
欧米のヴォーカリストは、高音部をそれほど高く聞こえるように歌っていません。
合わせて歌ってみればわかるでしょう。(強弱、強い息、子音、音色、発声の違い)
高いところでも高いという感じを抱かさずに声を出しています。
また高低の音質の差は少なくとも使っている声域の中の何音かの間で変わることはありません。
その声のしぜんさは、言語表現に通じた、身体の使い方のしぜんさからくるものです。
身体や息を使わないのに、広く浅くひびきすぎる音は歌うときのも使いにくいものです。
そのために、声には必ず息をミックスさせておくことです。
息にやわらかく声のサックをかぶせてやるような感じで声を出すと良いでしょう。
原則としてかすれてはいけません。
息は身体で制御できます。そこで吐けるし、叫べるし、すぐに止められること、言い切れることの方が伸ばすことより大切なのです。
ブレーキが効くからこそ車は走れます。息の通っていない声は暴走車であり、曲という規律のなかをうまく走れません。
感情も心も、それには乗らないのです。