歌の練習というのは、下のドから一オクターブ上のドまでを基本として、
それ以上の高音域に、さらに高くしていくように思っている人が多いのです。
それほどまで音域を中心に声を考える必要はないのです。
それは、声域を基準に、自分のレベルを判断してしまうだけのことです。
まして二オクターブ以上にまたがる発声など、判断するというのは、根本的おかしいのです。
使えない一オクターブの上に何音伸ばしていこうと、無意味です。
それは上達の妨げとなりかねません。
声域をとることを先に考えないほうがよいということです。
声域が一音伸びたとか下がったとか無意味のことに一喜一憂を繰り返してしまうからです。
音大生でも、オリジナルの調で歌うために、高音獲得競争は熾烈を極めているようです。
しかし、ポピュラーではそのことに労力をさく必要はないのです。
そんなことでは、語るように歌うようになりません。
事実、こういう可能性のあるヴォーカリストは、
日本では自他共に認めることができず、つぶれているのではないかと思います。
※最初から、プロと同じ声域にわたる、二オクターブや一オクターブ半の発声練習から入らないほうがよいということです。リスクが高いばかりで、効果が期待できないからです。
もし一オクターブの声域が完全にコントロールできれば、その人はかなりのレベルなのです。
私に言わせれば上級レベルです。
プロでも、私の基準からは欠点ばかり、チェックできるのですから、それはもうプロのレベル以上だといえるかもしれません。
歌ってみたところ、最初の一フレーズで問題だらけだとしたら、おかしなことでしょう。
結局、一オクターブ内でのチェックでさえ、いかに甘いかということになります。