また出る過去問分析 社会的養護(「新しい社会的養育ビジョン」Ⅱ) | 保育士試験:社会福祉・教育原理等攻略講座

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<また出る過去問分析 社会的養護(「新しい社会的養育ビジョン」Ⅱ)>

【令和3年(前期)社会的養護 問1】

次の文のうち、「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年 新たな社会的養育の在り方に関する検討会)において、2016(平成28)年の改正児童福祉法の原則と原則を実現するための取り組みとして記された内容として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 全ての要保護児童に対して施設養育を原則とすることが示された。

B 市区町村の子ども家庭総合支援拠点の全国展開が示された。

C 全小中学校にスクールソーシャルワーカーの配置が義務付けられた。

D 永続的解決(パーマネンシーの保障)として特別養子縁組を推進していくことが示された。

(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 A D
4 B C
5 B D


【解答・解説】

(参考)
「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年8月 新たな社会的養育の在り方に関する検討会)


「新しい社会的養育ビジョン」p2「3.新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」に次のように記されています。

「平成28年改正児童福祉法の原則を実現するため、
市区町村を中心とした支援体制の構築
②児童相談所の機能強化と一時保護改革、
③代替養育における「家庭と同様の養育環境」原則に関して乳幼児から段階を追っての徹底、家庭養育が困難な子どもへの施設養育の小規模化・地域分散化・高機能化、
永続的解決(パーマネンシー保障)の徹底
⑤代替養育や集中的在宅ケアを受けた子どもの自立支援の徹底
などをはじめとする改革項目について、速やかに平成29年度から改革に着手し、目標年限を目指し計画的に進める。」

そして、①については、具体的な取り組みとして、「市区町村子ども家庭総合支援拠点の全国展開」があげられています(「新しい社会的養育ビジョン」p2)。

また、④については、具体的な取り組みとして、「永続的解決(パーマネンシー保障)としての特別養子縁組の推進」があげられています(「新しい社会的養育ビジョン」p3)。

したがって、BとDが「適切」で、正解は5となります。

なお、Aについては、「施設養育を原則とすること」は、現在の社会福祉・子ども家庭福祉・社会的養育・社会的養護の理念に明らかに反するので、内容自体が「不適切」です。

Cに関し、スクールソーシャルワーカーについては、「学校教育法施行規則」第65条の4で、
「スクールソーシャルワーカーは、小学校における児童の福祉に関する支援に従事する。」
(中学校・高等学校等にも準用)
と規定されており、その配置が進められていますが、義務付けられてはおらず、こちらも内容自体が「不適切」です。


【コメント】

平成29年8月に、平成28年改正児童福祉法の原則を実現するために示された「新しい社会的養育ビジョン」は、しばらく社会的養護の象徴であった「社会的養護の課題と将来像」(平成23年7月)を「全面的に見直す」と謳い、厚生労働省HPの「社会的養護」のページでもトップに掲載されていたことから、保育士試験の「社会的養護」においても、すぐに超重要資料となることが予想されました。

「新しい社会的養育ビジョン」は、神奈川県独自地域限定保育士試験では、令和元年(平成31年)に出題され、その後、令和3年、令和4年と出題されました(令和4年は2問)。

しかし、全国試験ではなかなか出題されず、令和3年の前期試験で初めて出題されたました。
その後、令和4年の後期試験でも出題され、ようやく、かつての「社会的養護の課題と将来像」に代わる重要資料という位置づけになってきた感じです。

ただ、現在では、「新しい社会的養育ビジョン」は、厚生労働省HPの「社会的養護」のページの下段のほうの「これまでの報告書等」という目立たない場所に追いやられています

また、平成28年改正児童福祉法の「養育」という言葉を受けて、「新たな考え方」として「社会的養育」という言葉を作ったものの、「社会的養護」との関係が分かりづらい(あるいは、記述量の割に明確に説明できていない)うえに、「代替養育」という言葉も持ち出して定義づけるなど、非常に理解しづらい資料となっています

厚生労働省HPの「社会的養護」のページでいつもトップに掲載されている資料「社会的養育の推進に向けて」も、その内容は基本的には「社会的養護」についてのものとなっており、「社会的養育」という概念の存在意義に疑問を抱かざるを得ない状況となっています。

ちょっとグチっぽくなってしまいましたが、そのような訳で、「新しい社会的養育ビジョン」は非常に扱いづらい資料になっているため、深く掘り下げることは難しく、逆に、単純明快な箇所・記述しか出題できないものと考えられます。

ですので、対策としては、今回取り上げた令和3年(前期)問1や、神奈川県独自地域限定保育士試験で出題されている部分とその周辺を押さえておけば十分だろうと思われます。

(参考)
過去記事<社会的養護 過去問分析(「新しい社会的養育ビジョン」)>



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