親族里親の範囲 | 保育士試験:社会福祉・教育原理等攻略講座

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保育士試験の難関科目「社会福祉」「保育の心理学」「教育原理」「社会的養護」などを受験される方のための「ふくしかくネット」のブログです。

<親族里親の範囲>

言うまでもありませんが、里親制度は、保育士試験・筆記試験の「子ども家庭福祉」や「社会的養護」における最重要事項の一つです。

平成20年の「児童福祉法」等の改正で、養育里親と養子縁組里親が制度上区分され、現行の養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親の4類型に落ち着きました。

そして、平成23年の「児童福祉法施行規則」の改正により、親族里親の「親族」の範囲が、「要保護児童の3親等内の親族」から、「要保護児童の扶養義務者及びその配偶者である親族」に変更されました。

かなり重要な改正だったと思うのですが、当時、この改正は見落とされがちだったので、このブログ(の前身のブログ)で、よくこの改正を取り上げておりました。

その改正から、9年近く経ち、改正の経緯を知らない受験者の方のほうが多くなっていると思いますので、あえて、この古い改正の経緯を説明してみたいと思います。


里親には、子どもの一般生活費その他幼稚園費・教育費等の費用が支給されます。

また、養育里親、専門里親については、一般生活費等の費用のほか、里親手当が支給されます(それぞれ、月額90,000円、141,000円:令和2年度)。

一方、養子縁組里親、親族里親には、里親手当は支給されません

そのような制度のもと、平成23年3月に東日本大震災が起こり、両親を亡くした子どもが、おじ・おばに里親委託されるケースが多くみられるようになりました。

当時、親族里親の「親族」の範囲は「要保護児童の3親等内の親族」とされており、おじ・おばはちょうど3親等なので、里親委託するのであれば、親族里親となることになっていました。

しかし、上述のように、親族里親には、里親手当が支給されず、一般生活費等の費用という、いわば必要費しか支給されません

通常、おじ・おばは、要保護児童の両親と同じ世代であり、児童の将来のことも考えると、祖父母に委託するよりは、おじ・おばに委託するほうがいいでしょう

そこで、おじ・おばに里親手当を支給して経済的支援・里親委託促進を図るために、平成23年9月の「児童福祉法施行規則」の改正で、親族里親の「親族」の範囲が、「要保護児童の3親等内の親族」から、「要保護児童の扶養義務者及びその配偶者である親族」に変更されました。

これによって、おじ・おばは「親族里親」の「親族」の範囲から外れ、里親手当を受給できる養育里親となることができることになりました。

「扶養義務者」と言ってもピンと来ない方も多いと思いますが、これについては、民法に規定があります。

民法第877条(抜粋)
① 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
② 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

①より、「扶養義務者」は、原則として、直系血族と兄弟姉妹ですね。
直系血族は、父母・祖父母・子・孫などですが、里親委託との関係では、主として祖父母が想定されます。
兄弟姉妹は文字どおりですが、里親委託との関係では、歳の離れた兄・姉が想定されます。

その他、②より、「特別の事情」があるときには、家庭裁判所の審判で、3親等内の親族を「扶養義務者」とすることができます。

3親等内の親族としては、おじ・おばが想定されるわけですが、上述のように、里親委託との関係では、おじ・おばとしては、里親手当を受給できる養育里親になるほうが経済的に助かるので、②は里親委託との関係では、あまり意味がないでしょう。


この「改正の経緯」自体が出題されることはないと思いますが、里親制度に関する重要知識がいくつか含まれているので、ぜひ理解しておいていただきたいと思います。


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