【平成31年（前期）教育原理 問４】
次の論を展開した人物として、正しいものを一つ選びなさい。
正統的周辺参加は、それ自体は教育形態ではないし、まして教授技術的方略でも教えるテクニックでもないことを強調しておくべきである。それは学習を分析的にみる一つの見方であり、学習というものを理解する一つの方法である。
１ デューイ（Dewey,J.）
２ ピアジェ（Piaget,J.）
３ レイヴとウェンガー（Lave,J.＆Wenger,E.）
４ ブルーナー（Bruner,J.S.）
５ ブルーム（Bloom,B.S.）
【解答・解説】
１ 誤
デューイ（Dewey,J.）は、いわゆる「新教育」を提唱し、シカゴ大学に附属の実験学校を開設したことなどで知られる人物です。
２ 誤
ピアジェ（Piaget,J.）は、子どもの認知発達を年齢段階で区分して認知発達理論を掲げ、発達心理学に大きな影響を与えた人物です。
３ 正
正統的周辺参加（ＬＰＰ）は、レイヴとウェンガー（Lave,J.＆Wenger,E.）が提唱した学習理論で、教師が模範を示し、学習者がやってみてから、教師が指導やアドバイスを行い、できる範囲で支援しながら、徐々に手を引いていくことにより、効果的に学習を進められるという考え方です。
４ 誤
ブルーナー（Bruner,J.S.）は、学習者自身が発見の過程に参加し、自ら知識や問題解決の方法を習得する学習法である発見学習を提唱したことなどで知られる人物です。
５ 誤
ブルーム（Bloom,B.S.）は、形成的評価を組み込んだ完全習得学習（マスタリー・ラーニング）という授業モデルを提唱した人物です。
以上より、正解は３となります。
【検討】
前回の「教育原理」の過去問分析と同様に「保育の心理学」との共通事項となる、「正統的周辺参加」に関する問題を取り上げてみました。
解法としては、記述内容を考えるまでもなく、「正統的周辺参加」＝「レイヴとウェンガー」という知識だけで即答すべき問題でした。
「正統的周辺参加」については、「教育原理」では、平成25年・問７（過去記事参照）で、誤った選択肢の一つとして出題された後、平成31年の前期試験で本問が出題されました。
「保育の心理学」では、平成30年の前期試験と、令和元年の後期試験で、「レイヴとウェンガー」という人名とともに「正統的周辺参加」が出題されています。
本問の選択肢２の「ピアジェ」もそうですが、こうして見ると、「教育原理」と「保育の心理学（発達心理学）」との共通事項は少なくないな、と改めて感じます。
「「教育」とは・・・発達の援助である。」（保育所保育指針・第２章冒頭）ということもありますが、この２科目科目が、保育士試験の筆記試験における幼稚園教諭免許状所持者の免除科目となっていること無関係ではないでしょう。
それを勉強に活かせるかどうかについては何とも言えませんが、この２科目においては、人名や用語をしっかり覚えていくことが非常に大切となるので、これからこの２科目を受験される方は、一石二鳥だと考えてモチベーションを上げながら、積極的に人名や用語の記憶に取り組んでいけるといいと思います。
前回の「教育原理」の過去問分析の「ポルトマン」と同じように、令和元年（後期）の「保育の心理学」問９（かっこ内の語句の正誤問題）で、「正統的周辺参加」が具体的に説明されているので、誤った語句を正しい語句に入れ替えた文章を、以下に引用しておきます。
≪令和元年（後期）「保育の心理学」問９・完成文≫
レイヴとウェンガー（Lave,J.&Wenger,E.）は、（徒弟制度）のように参加を通して学ぶことを（「正統的周辺参加」）と呼び、そのプロセスに多くの学びが発生する可能性があることを指摘した。
この論を踏まえて、幼児の集団への関わりについて解釈を試みると、保育所に途中入所してきた幼児は、その園では（新参者）であるが、活動や場にその子なりに参加する。少し離れたところから同じクラスの幼児たちの遊び方を観察したり、共同的行為のなかで自分にもできる（役割）を担ったりする中で、次第に園での過ごし方、生活や遊びの理解、そこでの人間関係など、多くのことを学んでいく。
★ 保育士試験科目別対策教材の決定版！「保育士試験科目別リベンジセット」等販売中！
【ふくしかくネット公式ホームページ】
【Amazon（本－ふくしかくネット）】
【ふくしかくストア（Yahoo!ショッピング）】
にほんブログ村
