2024年4月27日(土)

芥川龍之介の初期の短編18編が収録されている文庫本を読む。

この文庫本にはルビが振られていました。この時代の文人の漢籍に対する知識の豊富さに驚きました。ルビなしには、また注なしには、到底読めない文章でした。ところどころには現代文としては間違いとされるような表現もありました。それも芥川の時代の記憶を残してくれた表現と思われました。

 

表題に撰ばれた『羅生門・鼻・芋粥』は今昔物語などの昔話を元に書かれたものだが、どれも人間性のあまり見たくない部分、隠しておきたい部分を見せつけようとしているように描かれていて、ちょっと驚くことになった。「鼻」や「芋粥」にはどこか滑稽な部分があるのかと思い込んで読んだのですが、はずれでした。滑稽どころか自分自身の嫌みな部分を思い出させてくれたかのように思わせてくれました。