今日は間違えることなく『グランドシネマ 坂東玉三郎 日本橋』を観てきました。
泉鏡花作の小説から鏡花自身が戯曲化した舞台を、入念な計算のもとに
映像化された作品。舞台を写しながらアップを使い、角度を駆使し、照明を工夫して、現実感のある画像を作り出していました。
ただなんと言っても玉三郎の存在感は、格別。
歌舞伎を鑑賞したことはありません。テレビで観たくらいです。
でもアンジェイ・ワイダが玉三郎と組んで、『ナスターシャ』という舞台作品と映画作品を生み出したように、玉三郎には歌舞伎を離れても通ずる演技者としてのすばらしさ、魅力があると言えます。
玉三郎の魅力は、女形としての容貌、立ち居振る舞いだけでなく、その言葉、話し方、発音、抑揚など声に魅力があることを改めて感じました。
それはこの作品が大正から昭和にかけての時期に書かれたもので、舞台が日本橋の芸者街、そこには日本語の美しさ、繊細さ、表現の多様さ、柔らかさなどなど、改めて生きている日本語のよさを思い知らされました。
それはちょうど、昨年の夏に見た志村ふくみさんの染めと織りの世界のようにも思われました。
と同時にそんな日本語がますます失われていくことが、嘆かわしくも思われます。
共演者は高橋惠子、松田悟志、永島敏行、江原真二郎、斎藤菜月ら。