陽と光は冬休みに入った。通知表は緑に見せてから良に見せてきたが、通知表の評価は普通が多かったが陽は体育がよくできましたで、光は音楽がよくできましたになっていた。良は自分が小学校の頃は九九もなかなか覚えられなくて苦労していたので特に成績のことについては何も言わなかった。自分の時と通知表の評価が違うので戸惑ったが、素直で元気に育ってくれれば良いと思っている。良は消極的な性格だったためか成績はあまり良くなかったし、手を上げて答えて間違うことがとても恥ずかしいことだと思っていた。でも、沓沢先生が６年生の時に担任となり、良は積極的に手を上げて答えるようになった。間違っても恥ずかしいとも思わなくなったし、人の目を気にしなくなった。それを教えてくれたのが沓沢先生だった良は少しだけ勉強が好きになっていった。それで成績は良くなったわけではなく、ごく普通の成績になったし、中学、高校とそれなりの成績で卒業できた。沓沢先生の自宅は良の高校に行く途中にあり、良を見つけるといつも声を掛けてくれた。今思えば、そのことが良の励みになっていた。だから、陽と光も良い先生に出会ってくれることを内心願っている。成績はどうであれ。