「二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ」古内一絵 東京創元社 2021年

この本は、同著者の、「キネマトグラフィカ」(2018年 創元社刊)の続編です。
その「キネマトグラフィカ」を読んだのが、2020年10月。今度の続編は、3年半後

に手に取ったので、内容や、人物相関等を、ほぼ忘れていました。読み返すのも億劫だし、きっと楽しいはず、と(古内一絵さんの著作は、けっこうその世界観が好きなので)読み始めてしまいました。

 

結論として、う~ん、前作を読んでから本書を読んだ方が、よりスッと入ってくる、親しめる部分はあるだろうな。ただ、これ単体として読んでも、色々興味深い点が

あり、十分楽しめます。(どっちなんじゃい!)

「ほお」と思ったのは、40代中盤からあれこれ感じる葛藤を、すごくリアルに描いているということ。これは、同じく迫りくる老いに恐れおののいたり、体力の減退などにあたふたした身だからこそ、感じ取ることができたのかもしれません。
20代で手に取っていたら、「ふ~ん」くらいで、通り過ぎた一冊かも。

キャリアプランの転向とか、新たな挑戦とか、・・・まあ、私には今のところ手に届か

ないことも含めて、多くの「中年の入り口さん」にとって、すごくリアルな出来事

なんだろうな。仕事だけじゃない。家事や育児、その岐路に立つのが多くの30代

だとしたら、40代は、もう状況はできつつある。でも、まだ何かできるのでは?
自分が積み重ねてきたスキルをどう生かすか?そういう心模様が、縦横無人に交錯
する人間関係と絡めて描かれています。

主人公が後半、「人生の潮目」という言葉を使っていました。これが、とても印象的

というか、この物語が描き出したかったものなのでは?と思いました。



う~~ん、なんかうまくまとまらないですが、読んだ勢いで、このまま出させて
いただきます。                           (礼)