おはようございます
ママ獣医師の鈴木綾香です
昨日は、みんなで早々と寝て朝早くから勉強できて、満足な一日のスタートです
仕事でバタバタする前に、1つお話したいことを。
以前、セミナー参加者向けに限定で配信した血液検査の東洋医学的な見方なんですが、これ西洋医学をベースとしてずっとやってきて、今、中医学をやっている獣医師ならではの見方だと思います。
よく『うちの子は毎年血液検査をやっていて、いつも正常値ばかりなので、問題がないのよ』と聞くことがあります。
でもほんとにそうでしょうか
みなさんも経験ありませんか??
なんか調子悪いなぁと思って病院には行ったけど、一通り検査されても何も問題は見つからなかったこと。
これ、西洋医学の病院にいたとき、よく経験してたことです。
『えぇー?!こんなにたくさん症状出てるのに、なんで検査に出ないんだろう??』と。
それでこの検査ではどうだ?これならどうだ?これでもでないなら麻酔かけてCTだ!MRIだ!なんて
そして気づいたら検査代だけでものすごい額になっていたり、、、なのに原因がわからない
でも、東洋医学を学び出して、『検査が全てではない』ということを感じるようになったし、検査を東洋医学的な目線で見てみると、実は『正常値』ではないことがわかったり、、、
私も、いろんな子を診察させてもらいながら、日々勉強させていただいてるんですが、この血液検査の中でも1つピックアップして私が見ているのが、
HCT(PCV)平均赤血球容積
です。
血液中に占める赤血球の体積の割合を示す数値、何ですが、なんのことやら?でしょ?
よく専門学校の学生さんたちも、これを話すと??て顔してます
わかりやすく描いてみますね、、、(学校の授業みたいだ)
採血をしたときに、赤い血が出てきますが、その赤い色素の元になっているのが赤血球です。
採血した血をそのままにしておくか遠心分離というものをすると、下に重い赤血球が下がってきます。
上に液体の血漿というのが残ります。
食塩水でいうなら、食塩が赤血球、水が血漿ですね。
食塩水の中に食塩がどれだけ含まれているか?というのと同じで、血液の中にどれだけ赤血球が含まれてるか?というのを表すのが、HCTなんです。
ワンコやにゃんこの正常値は教科書によって違いますが、ワンコが37〜55、ニャンコが30〜45くらいで書かれていることが多いです。
人でいうと、男性が40〜50、女性が35〜45くらいと言われていますので、ワンコは男性寄り、ニャンコは女性よりですね。
例えば、HCTが40%だったとしたら、全体を100として、40が赤血球だということです。
基本的に、だいたい半分以下が正常だと思ってください。
私が見るときは、50超えたら危ないなと思ってます(私の中でですよ
)
何が危ないかというと、これが例えば60とかだと、半分以上が赤血球なんですよ。
これ、いわゆる『瘀血』(血がドロドロしている)ていうことなんです
よく人間でもドロドロ血はよくないっていいますが、動物でもそれは同じです。
ヘドロのような汚水が溜まった川だと綺麗な流れではないので、必ずどこかで詰まってしまいますよね??
それが血管の中で起きるということなんです
だから!!
HCTが50を超えてたら、『あ、やばいぞ!この子は瘀血傾向にあるかも!』て思ってたほうがいいと思います。
これに加えて、
・心雑音(ドロドロ血が流れる音)があると言われた
・体や唇などにシミがある
・あちこちにできもの、腫瘍ができやすい
・ヘルニアとか痛みが起こることがある
・皮膚病や高脂血症、糖尿病がある
こんな症状がもうすでに出ていれば、立派な?!
瘀血体質です
ほんとにね、実際に採血してても、50超えるような子って、血がドロドロしてて入りにくいんですよ
60超えてくると、西洋医学的にも、瀉血といって、首の血管から血を抜いて薄くしなきゃいけないこともあります
ダックスちゃんでは、多血症といってこの血の濃い状態がよく見られるので、定期的に抜いてた子がいました。
男性は、献血をしたほうがいいといわれるのは、これが所以だったりしますね。
セミナーでもよく話してましたが、瘀血っていろんな原因からすぐ起きてきちゃうんですよ。
水が溜まってもなるし、気が滞ってもなるし、なので油断大敵です
それくらい頻繁にみられて、しかもいろんな病気の元になってしまうので、ヘルシ和漢を作ってもらったわけなんですが、、、
やはり『病気』になってしまう前に、こういう小さなサインを見逃さないこと!!
せっかく血液検査をやるなら、いろんな角度から見ていくこと!!
じゃないとせっかく高いお金だして、痛い思いして血を抜いてるのにもったいないよ
てことで、よくセミナーで私がお話ししてたので、気になって往診に呼んでくださった方がいらっしゃいました
綺麗なキャバリアちゃん
キャバリアちゃんって正常でも心雑音がある子が多いんですが、やはり瘀血体質の子がとても多いと思います。
変わった病気も多いので
この子は、特に大きな病気はしてなかったけど、飼い主さんがたくさん小さなサインを見つけて気にしててくれて、そこからケアができている子です。
血液検査にて、HCTが
2018/8 55% 漢方スタート!
2018/12 51.2%
2019/5 47.1 %
と、漢方飲み始めてだいたい9ヶ月ですが、50を切るようになってきました
最初舌の色もあまりよく無かったんですが、
最近の舌の色はとても良いですね
この子の場合、お水が溜まってむくみやすい体質、熱がこもりやすい体質でもあるので、飼い主さんが毎日、状態に合わせて薬膳も取り入れてかなり頑張られてます
漢方では血をサラサラにしてくれるものがたくさんありますし、薬膳でも取り入れられるものがたくさんあります
夏になると、暑くなり血がドロドロになりやすい傾向にあるので、今の時期にしっかり体を整えておくことが大事です
みなさんもおうちの子の血液検査を見直してみてくださいね
瘀血については、私、ほとんど毎回のセミナーでお話しているので、どういう体質が瘀血を生むのか?ってとこまでわかってくると根本的な体質改善ができてくると思いますよ