こんにちは。
“マネジメント人財の目利き&「大人の学び」の案内人”の福岡 明善です。
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ことのは 95
才能というのはね、能力のことじゃないんだ。
どうしてもやめられない性格のことなんだよ。
((一語一会)日本語学者・金田一秀穂さん 卒論の指導教授からの言葉、
朝日新聞デジタル、2022年3月3日)
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上述のことばは、日本語学者の金田一秀穂さんが紹介されています。金田一さんと言えば、アイヌ語研究の先達である祖父の京助氏、日本語の方言やアクセントの研究で著名な父の春彦氏、を持つことで有名です。金田一春彦さんの著書『日本語』(岩波新書)は、私にとっては思い出に残る本で、この中で春彦氏は、私が生まれ育った地域のことばに特有のアクセントについて分析されていて、おおいに興味をそそられました。
さて、本日取り上げたことばは、金田一秀穂さんの恩師がお話しされていたそうです。その恩師とは、当時、上智大学の教授を務められていた小木貞孝さんです。金田一さんは、研究者の道に進もうかと迷っている大学4年生の時、卒業論文の指導教授である小木さんに「研究者に向いているでしょうか。才能あるでしょうか」と尋ねました。小木教授は「わからない……」と言ってから、そもそも、そういう問題ではないのだと、
才能というのはね、能力のことじゃないんだ。
どうしてもやめられない性格のことなんだよ。
と説明したそうです。
なるほど!と合点がいきます。
才能とは、必ずしも能力を意味していない。
やめられない性格とは、
それが好きで好きでたまらない
飽きずに没頭できる
のめり込んで時間が経過するのも忘れてしまう
少し時間が経つと、またそれに取り組みたくなる
などといったことなのでしょう。
好きだからそれに熱中して取り組む。気づいたら、何かになっている。何かを成し遂げている。そういったことなのかもしれません。それを私たちは「才能」と呼ぶことがあるけれども、それは能力というよりも、性格や特性といったものなのかもしれませんね。それが私にとっての一つの気づきでした。
小木教授・・・どのような方なのでしょう?
実は、精神科医で小説家でもある、加賀乙彦さんです。現在も92歳でご活躍中です。『フランドルの冬』や『湿原』を学生時代に読んだ記憶がよみがえってきました。モーリス・メルロ=ポンティの『知覚の現象学』の翻訳にも携わっておられ、急に懐かしさに浸っています。
では、また。Bonne journée!
追伸)
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