こんにちは。
“マネジメント人財の目利き&「大人の学び」の案内人”の福岡 明善です。
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ことのは 82
英語もエクセルもいらない
(楠木建、プレジデントオンライン、2021年8月15日)
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経営学者の楠木建さんは、ご自身の娘さんが学校を卒業して仕事を始める際に次の3つを
アドバイスされたそうです。
1つめは「常に機嫌よくしていて挨拶を欠かさない」
2つめは「できる人の仕事を視る」
3つめは「顧客の視点で考える」
いずれも、自明のことですよね。
しかし、この3つには共通項があります。おわかりになりますか?
そうです。いずれも、英語やエクセルなどのビジネスのスキルに関することではなく、
むしろ、センスに関することであるという点が共通項であり、肝なのです。
楠木さんによれば、スキルについては、自分が何を身につけたのか・何をまだ身につけていないのか、といったフィードバックが自然にかかることが多い一方、センスについては、次のように指摘されています。
“センスはフィードバックがかからないので、ない人はないままいく
ことになる。これがセンスの怖いところ。なぜかと言えば、センスの
ない人はそもそも自分にセンスがないということがわかっていないんです“
加えて、スキルを身につけていく努力と、センスに磨きをかけていく努力とは、違いがあると主張されています。その上で、センスに磨きをかけていくことを「錬成」と呼び、錬成の非常に古典的な方法は「修行」であると仰っています。「修行」に含まれる、全員で生活を共にするというプロセスには理由があり、それは、センスの本来の性質が「きわめて総体であり、全体であり、綜合的なもの」であるからだと言います。
これらのことを少しかみ砕いて、プレゼンテーションを例として取り上げて説明されています。少し引用しましょう。
“裏を返すとセンスというのはその人の一挙手一投足すべてに表れていると
思うんですよ。プレゼンテーションのスキルを学ぶとなれば、観察する対象が
プレゼンテーションをしてくれていないと学べないんですね。
その人がプレゼンをしているところを見ないと意味がない。
ところがセンスについては、ひとつ有利な面があって、それはセンスがある人
の一挙手一投足、メモの取り方、商談相手への質問の仕方、会議の取り回し方、
そしてデスクの配置、ご飯の食べ方、鞄の中に何が入っているのかというところ
までも含めた、そのすべてにセンスが表れている。
だから一緒にいれば、なんでも学びになるわけです。確たるセンスを錬成する
方法はないし、人によってそのセンスのあり方も千差万別なので標準的な習得
方法はないのですが、センスがある人が身近にいればその人をよく視る。
これがいちばん手っ取り早いセンスの錬成法です“。
私自身が従事している仕事(人事コンサルタント)のことを振り返ってみると、
確かにスキルは重要ですし、意識して獲得しないといけません。ただ、スキルはある程度形式知として明示されており、一定の時間をかければ誰もが身につけることができます。だからと言って、全てのコンサルタントが同じようにお客様から支持されるかと言えば、違いがあります。
その違いは、どこから来ているのでしょうか?
その一つは、センスから来ているのかもしれない、と感じています。
みなさんのお仕事では、スキルとセンスそれぞれどのようなものがあるのでしょう?
では、また。Bonne journée!
追伸)
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