55b7a538.jpg今国会から、環境委員会のメンバーになった。今日行われた環境委員会で、質問に立った。

まず、環境問題は、みんなで取り組むべき課題、すなわち「自分だけ守らなくても大丈夫だろう」と誰かが思えば十分な効果が得られないし、継続性・不断の努力も大事です。気を緩めると、効果が薄れてしまう。
そういった意味で、洞爺湖サミット時に比べると、環境に関する報道などが減っているし、現在の不況下で、厳しい状況にある企業や家計において、環境は大切だとは分かっていてもついついおろそかになってしまったりする。
斉藤大臣の強いリーダーシップで、ぜひ引っ張っていただくことを期待した。

その上で、
1.海岸などへの漂着物による被害について
2.気温と農業の関係
3.野焼きと環境への影響
4.諫早湾干拓開門調査などに関わる環境アセスメントについて
の4点について質問させていただいた。

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斉藤大臣からは、大変誠実で丁寧な答弁を頂いた。検討を約束していただいた事項については、早急な実施に向けて今後も注視していきたい。1.海岸などへの漂着物による被害について

私は佐賀県の出身だが、佐賀県は北は玄界灘、南は有明海と特徴の異なる2つの海に面している。まず、地元でも問題となっている漂着物について質問をする。

佐賀県の調査によれば、今年の1月から4月までに唐津市と玄海町の海岸には、1300個ものポリタンクが漂着した。その中には、韓国語や中国語のものが含まれていた。毎年漂着があるそうだが、今期は4万個以上が流れ着いたとされており、多くが20㍑入り。このポリタンクには、塩酸が主成分の液体が入っていることが多く、危険なものも多かった。

また、最近、医療系廃棄物の漂着物は減少しているという見解もあるが、たとえば、玄界灘(佐賀県部分のみ)には今年10月以降だけでも168個の医療系漂着物(内訳は、注射器53個、薬瓶など115個)が漂着している。誤って踏んだりすると感染症のもとになる可能性もあり、決して看過できない。

(1)海外からの漂着物では、中国、台湾、韓国などからの漂着物が多い。これらの国で、医療系廃棄物やポリタンク等のゴミの処理・廃棄のルールはどのようになっているのか、それらは守られているのかを聞きたい。そして、それをふまえて、これまでどのような対応を求めてきたのか、また、これらの諸外国に対して、今後どのような態度で臨むのか大臣に聞きたい。

(2)通常、海岸で回収されたゴミは自治体が処分をしているし、医療系のゴミなどは、放置できないため、地元自治体ではパトロールを強化している。また、ものによっては廃棄物として適切に処理しなければならない
そのため自治体の財政負担が重いという声をよく聞く。本来その地域の責におわない漂着物の処理を負担するのはおかしいのではとの声もある。
これまでも、たとえば環境省の災害等廃棄物処理事業費国庫補助金を災害に起因しないものにまで適用をするなど利用しやすい環境整備に努めてきているが、今後も、量(150立米以上)や国庫補助基準の緩和なども含め、より自治体にとって、使い勝手のいい体制にしていくことが望まれるが、見解や如何。


2.気温と農業の関係

(1)今年は、地元でも8年ぶりに台風が直撃しなかったことで、豊作の期待が高まっていたが、作凶は98。期待が大きかっただけに失望の声も聞かれる。出穂期の気温が高いと白未熟粒の比重が増加するとされるが、ここのところ、温暖化により、九州では米の品質低下が著しい。また、カメムによる被害も増大している。政府(農水省)では気温の上昇による農業への影響の実態をどのように把握しているか。また、どのような対策をとっているのか。

(2)一方、これから冬を迎えるが、環境に優しい農業のあり方が求められる。補正予算にも燃油・肥料高騰対策が盛り込まれた。
ハウス栽培のために重油を炊くのは、CO2の排出という意味からも、望ましいことではない。
先日、ある農家を訪ねたところ、原油の高騰分を補填するのもいいが、今の温度から2~3度低い温度でも生育する品種開発をしたら、そのぶん重油を炊かずにすむんだから、将来を見据えてそういったことにも力を入れて欲しいと言われた。
農業分野における省エネ化やCO2排出削減のための取り組みについて伺いたい。

3.野焼きと環境への影響

(1)佐賀県は麦と米の二毛作を行う。以前は、麦わらを焼いていたが、煙たい、洗濯物が汚れる、地球環境にも悪いといったことから、最近は野焼きを禁止する市町村も多い。
野焼きしない場合、すきこむ(土を掘り起こしてわらを混ぜ込む)ことになるが、これによって作物が生育しやすくなるとする意見もあれば、わらが根付く際にじゃまになって、発育が阻害されるとの意見もある。
鋤き込みと稲や麦の発育にどのような影響があるか、ということに関して見解はあるか。

(2)野焼きをしてもカーボンニュートラルの観点からは±ゼロとなる。しかしながら、燃やす場合には当然二酸化炭素を排出するし、不完全燃焼によるメタンガスや一酸化二窒素の排出もある。しかし、一方で、野焼きをせず鋤き込んだ場合には、地球に優しいかと思ったら、地球温暖化に悪影響を及ぼすメタンガスなどが排出される。しかし、一方では窒素除去には有効との見解もある。
比較すると、どちらが環境にやさしいのか。また、野焼きについて環境省はどのような見解なのか。

4.諫早湾干拓開門調査などに関わる環境アセスメントについて

最後に大臣に。有明海の環境悪化により漁業は深刻な状況にある。諫早湾干拓が有明海に及ぼす影響をしっかりと解明するため、佐賀県はこれまでも開門調査を求めてきたし、佐賀地裁の判決を受けて、農水省が主体となって開門調査に先んじた環境アセスメントが進められることになった。
今回は、環境影響評価法に基づくアセスメントではないが、実施要領では通常のアセス同様、環境大臣の意見が具申できるようになっている。

諫早湾の問題は、漁業者と農業者、佐賀県と長崎県の利益や思惑が相反する部分もあり、事業を行う省庁では相反する主張の板挟みになっている面がある。

この有明海のケースに限ることではないが、環境アセスにおいて、一歩引いた客観的な立場から、地域の環境全体のために如何にすべきかについての意見がなされることはとても大切なこと。そういった意味で、環境省の担う役割がこれまで以上に重視されるべきだと思うが、大臣はどう思われるか。