IWC総会3日目は、日本にとって重要なテーマがたくさんありました。

今日のテーマは、捕殺方法と関連する福祉問題、社会経済的意味合いと小型捕鯨、改訂管理方式、特別許可、会場の安全、非加盟国による捕獲など。

捕殺については、捕殺時間短縮のための各種取り組みが各国でなされています。苦しむ時間を少しでも短くという観点からです。各国の情報共有が求められますが、捕鯨反対側が悪意に満ちた情報の取り扱いをするために、それが進まないとの問題もあります。

社会経済的意味合いと調査捕鯨については、日本側がこの議題を提案しました。
日本では、縄文時代から鯨を利用したことが確認されています。そして、その後も鯨食と日本文化は密接に関わってきました。
現在、沿岸捕鯨を行っている地区は、太地(和歌山県)、和田(千葉県)、鮎川(宮城県)、網走(北海道)の4地区があり、IWCの枠外の小型鯨類を捕獲していますが、取り巻く環境は厳しさを増しています。日本からは地域共同体と密接に関わり合った捕鯨に関して、伝統文化の再構築という観点からミンククジラなどの捕獲を認めて欲しいとの要請をしました。
国内消費に限定することや、捕鯨に関しては地域共同体ベースで行うこと、国際監視体制の受け入れなどもあわせて示すことで理解を得ようと努めました。
賛同の声もありましたが、オーストラリアやEU諸国、南米からは厳しい声が上がりました。商業捕鯨を禁止したモラトリアムに反するとの理由からです。
そもそも、IWCは鯨類資源を管理することで、将来にわたって末長く利用することが目的の組織でしたが、最近は反捕鯨国は捕鯨そのものを許容できないとする立場に変わってきています。
改めて、溝の深さを感じることになりました。結論は得ず、今後の議論になります。

特別許可については、日本側が調査捕鯨の学術的有用性を示し、生息実態の把握には欠かせないという主張を行ったのに対して、反捕鯨国は非致死的調査で行うべきとの考え方です。
性別や年齢、生殖実態、何を餌としているかなど致死的調査でなけば分からないことも多くありますが、ここも各国の溝は深いです。
韓国が調査捕鯨を開始するとの突然の表明もありました。

海上の安全については、昨年シーシェパードに関する決議を行ったにもかかわらず、その後も実力的な行動が継続している実態を日本側がビデオなどで示しました。
そして、旗国や寄港国などに対して適切な対応を求めました。
反捕鯨国にも、暴力行為は看過できないという意見が大半を占めますが、南米の中には「そもそも調査捕鯨そのものを認められないと思っている。暴力行為を阻止したければ調査捕鯨をやめればいい」と、その行為を正当化するような主張をする国もあり、大きな憤りを覚えました。
価値観の違いはあっても、平和的な対話によって解決を目指すべきことはいうまでもありません。暴力行為を正当化し、その圧力で他の価値観をねじ曲げようとする卑劣な行為をあたかも正当化するような発言については断じて許せません。

夕刻の空いた時間には、旧市街などを見ました。

夜は、アフリカ諸国との夕食会。ベナン、コートジボワール、ガボン、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、モロッコ、モーリタニア、トーゴ、そして日本も支援しているCOMHAFAT(大西洋岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議)の代表者の方々と交流を深めました。
各国には守るべき文化があり、それを尊重することは大切なことです。アフリカ諸国は捕鯨を行っていませんが、そういった国が捕鯨を文化とする我々の立場を支持してくれることは心強いことです。
一方で、こうした国にも反捕鯨国は圧力をかけてきています。まずは、相互の文化を理解すること。その上でお互いに何ができるかを考えることが大切で、有意義な会になったと思います。