一票の格差が5.0倍だった2010年の参議院選挙は違憲として
無効を求めた裁判で、最高裁は「違憲状態」とする判決を
出しました。「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態」
としながらも、「違憲」と断定しなかったことによって
2010年選挙のやり直しは行われません。
しかし、「できるだけ速やかに違憲の問題が生じる
不平等状態を解消する必要がある」とされていることから、
今後制度見直しに向けての議論が進むと思われます。
私は、「法の下の平等」を定めた憲法の精神、その中で
選挙制度において格差是正に取り組まなければならない
ことは否定しません。一方で、「都道府県単位の選挙で
定数を設定する方法を改める」よう求められていること
に対しては、本当にそうだろうかと疑問を持ちます。
ブロック制を適用したり、複数県で一つの選挙区とする
合区案などがありますが、佐賀県のような人口の少ない
地域の声が国政に届けられなくなる懸念があるからです。
都市部への人口集中や、過疎地の限界集落化などが
叫ばれる中で、マイノリティの意志を国会でどのように
受け止めていくのかということは大きな国政課題です。
十分なる格差是正に取り組んでこなかった国会の責任は
あると思いますが、それを受けてどのように選挙制度を
改正するかは立法府の裁量であるべきです。
私は、都道府県単位が望ましいという考えのもと、
どのような格差是正策がとれるのか提言していきたいと
思います。