相続税減税目的での不動産取得に最高裁でも「NO!」の判決 (その2) | 福岡の資産税専門税理士・行政書士のブログ        ■相続のアドバイスと不動産賃貸経営のパートナー■

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前回の記事

相続税減税目的での不動産取得に最高裁でも「NO!」の判決(その1)

の続きです。

ダイヤグリーン判決の要旨ダイヤグリーン

上三角相続税法22条により、相続財産の価額は、その取得(相続)の時における時価とするが、ここにいう時価とは当該財産の客観的な交換価値と解される。

上三角相続財産の価額について、評価通達によることが、実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的理由があると認め、評価通達による価額を上回ったとしても、客観的な交換価値としての時価を上回らない限り、平等原則に違反するものではない。

上三角これを本件各不動産についてみると、通達評価額と鑑定評価額との間には大きな乖離があるものの、このことをもって評価通達による評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるということはできない。

この様に、そもそも相続税法上、相続財産の評価額は「相続時の時価」であり、「時価=客観的な交換価値」である事を明らかにし、本件において、鑑定評価額こそ客観的な交換価値であると、判断されました。

ただし注目すべきは、通達評価額と鑑定評価額に大きな差があるという理由だけで、通達評価額が否認される訳ではないという点です。

つまり、本件で鑑定評価額を採用すべきとされたのは、

上三角本件各不動産の価額について評価通達により行うことは、本件購入・借入のような行為をせず、又はすることのできない他の納税者との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきである。

とし、
丸レッド相続税の減税効果を期待して不動産の購入やその資金の借入が行われ、実際に相続税額がゼロになった事。

丸レッド相続人側は、「不動産の購入は事業として行ったものだ。」と言うものの、相続税の申告期限前に乙不動産を売却している事からも、その目的は相続税の負担軽減だったと認められる事。

が、その理由だとしています。

本件では、被相続人及び相続人らが銀行から提案を受け、これを実行していますが、被相続人が銀行から提案を受けた時の年齢が、恐らく90歳。通常はこの年齢で約10憶もの融資を受けるのは難しいかと思います。

ですが、債務者が被相続人でなければ、相続税の減税効果は見込めなかった為、銀行の特別な関与なしにはこのスキームは実現できなかったでしょう。
これが、「することのできない他の納税者との看過し難い不均衡」だと言えます。

ダイヤグリーン今後の相続税対策のポイントダイヤグリーン

相続税における不動産評価が、原則、財産評価基本通達による事はこれまで通りです。

ただし、今回の判決を受け、行き過ぎた相続税対策を行ってしまうと、租税回避行為とみなされ時価(鑑定評価額)での評価が求められ易くなった事は間違いありません。

相続前の不動産の購入については、その主な目的が「相続税の負担軽減の為」となると、今回の事案もそうでしたが、金融機関の稟議書などにもその旨の記載がなされる事になります。

特に、取得してから短い期間の不動産を、相続後すぐに、又は間もなく売却する時は、特段の注意が必要でしょう。

相続税負担軽減を目的に不動産を取得したと見られない様にする為には、早い段階で対策を行い、賃貸その他の用途に活用し、その実績をつくる事です!

ただし、「相続対策」は「相続税」だけではありません。

遺されたご家族が安心して、幸せに暮らせるように配慮する事が大事ではないでしょうか?

その為にも、どこに相談するのかも含めて判断していく必要があります。

既に申告済みのケースでも、同様の事案に対しては税務調査等の懸念があるでしょうし、
今後、不動産を活用した相続税の節税対策には、大きな影響が出ることが予想されます。



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