今年もあと一月半となりました。
「贈与」を使った相続対策を検討している方にとっては、そのタイミングとして、年内に贈与をしておきたいと考えていらっしゃるかも知れません。
贈与には様々な特例もありますし、「相続時精算課税」により、大型贈与も出来る様になりましたが、注意点もあります。
では今回は、「相続時精算課税」での注意点についてですが、
まず、この「相続時精算課税」とはどういったものなのか
60歳以上の直系尊属(父母、祖父母など)から、20歳以上の直系卑属(子、孫など)への贈与について、2,500万円までは贈与税がかからないという制度です。
ただし、贈与が2,500万円を超える場合には、その超えた価額について一律20%の贈与税がかかってきます。
これだけ聞くと、
「何だだったら、2,500万円までは贈与税がかからないから、相続時精算課税を使って贈与してしまえば良いんだ!」
と思ってしまいますが、そこはもう少し考えた方がよいケースもあります。
そもそもこの制度は、贈与者(贈与をした方)がお亡くなりになった時には、その贈与財産が相続財産に含められて相続税の課税対象となります。
つまり、「贈与」とは言っても、あくまで相続財産の前渡しという考え方です。
そのため、贈与財産の価額が2,500万円を超えて、その贈与の時点で贈与税がかかった場合には、その贈与税額は相続税の前払いとなり、相続の時にその贈与税額を相続税額から控除する事になります。
この様に、相続時精算課税による贈与は、実質的に相続財産を減らす効果はありません。
また、一度これを選択すると、年間110万円の非課税枠がある「暦年課税」は使えなくなります。
合わせて、相続時精算課税を選択した年以降に、110万円以下の贈与があった場合でも、贈与税の申告をしなければなりません。
それから、初年分の贈与税の申告においては、「相続時精算課税選択届出書」の添付をお忘れなく
この様に、「相続時精算課税」により大型贈与も出来る様になりましたが、
これに伴い、「遺産分割」という面から見ていくと「特別受益」ですとか、「遺留分」という問題とも絡んで来る事になります。
相続税の申告で、持ち戻しの対象となる生前贈与については、その贈与があった事が他の相続人にも分かってしまいますので、なお一層、遺産分割でもめないような生前の対策が必要となって来るでしょう。
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