いい話いっぱい | マイドのマインドⅡ

いい話いっぱい

財団法人「修養団」主催の伊勢講習会に、3泊4日の日程で参加してから16~7年になる。


私が参加したのは第804回だったが、今は『みがく講習会』という名称になって第1082回をかぞえる。


http://www.syd.or.jp/ise/


講習プログラムを見ても私が参加した時とほとんど変わらない。

いかなる宗教にも属さずいかなる政治結社にも属さずに、明治39年に東京府師範学校において、学生の蓮沼門三たちによって設立された、修養団の基本理念が今日まで受け継がれている証拠だと思う。


ise804nittei 平成3年11月5日~8日日程表

講習プログラムのどれもが印象深いものであったが、講師たちの『講話』も忘れられない。


講話の中のひとつが、後日テレビで偶然再会した。


テレビ静岡制作の「テレビ寺子屋http://www.sut-tv.com/terakoya/ 」。話し手は修養団常務理事・伊勢青少年研修センター所長の中山靖雄さん(当時)。

印象深い話は、車椅子の洋子ちゃんの七夕さまへの願い。


私どもで、毎年、沖縄、岐阜、福島、北海道で重度の障害者を招いて、一般人と一緒にキャンプ大会をするのですが、数年前に沖縄での、一人の娘さんのことをお話ししましょう。
それは洋子ちゃんという17才で、車椅子で、おしめが外せないという状態の女の子です。ある年の沖縄でのキャンプの時でした。丁度七夕の時でしたので、私が車椅子を押しながら、「洋子ちゃんも、何か願い事があったら、言ってごらん。私が短冊に書いて吊るしてあげるから」と言いましたら、「別に何もない」と言うので、「そんなこと言わないで、みんなも空を飛んで沖縄に来てみたいとか、海をずっと潜ったまま、どっかに行きたいとか夢のようなことを書いてるのだよ。だから洋子ちゃんも、手足を自由に使って走れたいとか、願いごとをしたら」と言いましたら、
「先生、ご免なさい。やっぱり無いな」するとお母さんが「そんな可愛げのない娘に育てた覚えがない。あんただってきっと何かあるでしょう。素直に言いなさい」と思わず大きな声を出すと、「だって本当に無いものは無い」という始末です。
その時、私は頭から冷水をかけられたような気がしました。現実にはそんなことを書いても、そう簡単に手足が動けるようになるわけがない。それをいとも気安く言うなんて、何と失礼なことを言ったんだろうと思い「ご免なさいね、気がつかずに失礼なことを言って」と心から詫びました。
彼女は「先生、いいのよ。気にしないでね。それほど言ってくれるのなら、夕方までに何か考えておくから」と言ってくれました。
夕方になって車椅子を押しながら、みんなが短冊を笹の小枝に結び付けるのを見せながら、「洋子ちゃん、ああいう具合にするのだよ」と言いますと、車椅子を押している私の手をとんとんと叩いて、「どんなことでも書いてもらえる」と言いました。
「ああ、いいよ」と言ったら、何と言ったと思いますか。私の全く予想もしなかったことでした。
「神様、どうぞお母さんより一日早く死なせて下さい、と書いてくれる」17才の女の子にとって、母さんがいなくなったあと、誰がおしめを代えてくれるのか、又誰がお世話をしてくれるのかなあということが、一番心配で、心配で堪らなかったのでしょう。
更にもう一つ、うがった見方をすれば、ずっと世話してくれたお母さんに何も孝行できなかったけれど、せめて母さんより一日でも早く死んで、私のことを何も心配しないで生きれるそんな一日を、プレゼントしたいという乙女心の優しい思いと、切ない祈りが込められているような気がしました。
私は一瞬、胸にぐっとくるのをこらえながら、その通りに短冊に書いてあげて、笹に吊るしました。
暫くして炊事の当番をしていたお母さんが走ってきて、「先生、洋子が何か書いて頂いたそうですが、何て言ったんでしょう」と聞かれましたので、あそこにかけてきたから、見てきてごらんと言いますと、それをじっと見ていましたが、やがてやってきて、「先生、私にも一言何か書かして貰ってもいいですか」と言うので、どうぞと言いましたら、こう書かれました。
「もし、神様がいらっしゃるなら、ぜいたくかも知れませんが、娘より一日長生きさせて下さい」そして、二つの短冊を、揃えて吊って、じぃっと両手を合わせて拝んでおられました。
私はこんな出会い、本当は喜べないと思うのです。こんなのをニコニコやれっといっても、誰にもできないと思うのです。だけどいくら歎いても、どうにもならないその世界を捕まえて、なんとかというお母さんの祈りが、洋子ちゃんの心を広げていくのです。
さいごに彼女が私等に言ってくれたのは「先生、私が体が不自由なのは、神様が、私ならきっと苦しみに堪えられると思ったのよね。私は神様に選ばれたのよね」と、振れない手を一生懸命振りながら帰ってくれました。

http://www.silver.or.jp/tanshin/business/b010819.htm


ここで引用させていただいた「北海道ふれあいタウンhttp://www.silver.or.jp/ 」の中の『ビジネス短信http://www.silver.or.jp/tanshin/ 』のなかには、テレビ寺子屋をはじめとして、いい話がたくさん収められています。


是非覗かれる事をお勧めします。