興味深い記事であった。
献体による脳の解剖からの所見である。
脳の構造は重層で成り立っている。
種として生存するのに必要な機能となる大脳基底核がある。
次に学習や記憶に関わる海馬や側頭葉がある。
そして、外側に道徳的判断や計画性に関わる大脳皮質がある。
この重層構造で段階的に死んでいくとのこと。
外側から順に死んでいくとのことである。
社会性から死んでいくというのは、分からなくもない。
あくまで個人の経験としての実感である。
私が脳炎の時は、意識混濁によって、外界と繋がらなくなった。
何かしゃべっているけど、意味が分からないことが多かったよう。
そして、漢字はもちろん、一部のひらがなやカタカナが思い出せなくなっていた。
倒れてから1か月後にようやく単文による短文が書ける程度であった。
でも、呼吸はしてるし、脈はある。
だから、生きていたのである。
基底核を炎症でやられていたら終わっていたのだろう。
そう思えば、運が良かったのだと言える。
植物状態のように見えても、人は何らかの形で生きている。
もちろん社会的に生きているわけではないのだが。
どこがやられたら回復しないのかの片鱗が、少し見えたような気がする。
かといって、二度とかかりたくないのは言うまでもない。