今年も繁昌亭に行ってきた。
演目は香盤表のパンフにメモして帰っている。
私の暗記力のなさはどうしようもなく、3つ前の落語が何か忘れてしまうので。
メモがあれば、それをきっかけに思い出せるので。
昔のようにカセットテープに録音して文字起こしできる時代ではない。
そして、多くの定番ネタは既に文字化されている。
もちろん、全部を読んでいるわけではないし、それ専門というわけでもない。
そして、オチすら忘れてしまうからこそ、毎回楽しめる。
不思議なことに、下手な落語に限ってオチが呼び起こされることがある。
興醒めの二重奏である。
さて、今回もメモが書いてある。そのうちの一つが「村、庭、直」。
気づく人はすぐに気づくと思うが、「村醒め」「庭醒め」「直醒め」のこと。
上方落語「七度狐」(煮売屋)で、出てくる。
「村外れで酔いが醒める」「外に出て醒める」「飲んですぐ醒める」という意味。
これをメモしたということは、私は知らなかったということ。
この手の表現は、『あぶさん』に出てくる表現で覚えていたので。
『あぶさん』3巻の第6話が「軒醒め」。そこに出てくるのは、「県醒め」「村醒め」「軒醒め」で、特級、一級、二級の日本酒のことを指す。
「県醒め」は新しい言い方だろう。昔からあれば「藩醒め」のはず。
そして、当時の煮売屋には特級酒が置いてないということも見えてくる。
「直醒め」は、直接的で大阪っぽい分かりやすい表現だと思う。
軒も庭もない住居に住んでいる人が多い今でも、言葉は生かしたい。