死亡率減少する「内科は若手医師・外科は高齢医師」の根拠
2018.05.25 11:00 NEWSポストセブン
ハーバード公衆衛生大学院の津川友介医師(現・UCLA医学部助教)による統計調査による結果。興味深いので、読んでみた。
まず前提として、私は以下の先入観は持っていない。
腕は年齢で決まるものではないと思っているので。
「内科医は、さまざまな症例を診てきた、経験豊富なベテラン医師がいい」
「外科医は、長時間の手術にも難なく耐えられるような体力のある若い医者がいい」
それをふまえて、以下の結果を概観いくことにする。
興味深い結果であるが、思うところを記していく。
アメリカの病院に勤務する1万8854人の内科医が治療にあたった73万6537症例(2011~2014年)に関して、医師の年代ごとに患者の死亡率(入院30日以内)を比較している。
それによると、医師の年齢が40歳未満では、患者の死亡率は10.8%、40~49歳では11.1%、50~59歳では11.3%、60歳以上では12.1%となっている。医師の年齢が上がるほど、死亡率が上昇しているのだ。
誤差の範囲ではないのかと思ってしまう。
元の論文を読んでないので、はっきりとは言えないが。
患者の様態との関係を想定した多変量解析でなければ、単純にものは言えないはず。元の論文を読んでないので、はっきりとは言えないが。
一方、外科医については、4万5826人の外科医の手術を受けた89万2187人の症例(2011~2014年)を対象に、医師の年代ごとに患者の致死率を比較している。
その結果、外科医の年齢が40歳未満では、患者の致死率は6.6%、40~49歳では6.5%、50~59歳では6.4%、60歳以上では6.3%だった。つまり、外科医の場合は内科医とは逆で、医師が高齢になるほど致死率が低くなったのである。
こちらの結果は、割とすんなり納得できる。
年齢を重ねても現場に立っている医師は減っていくはずだからである。
腕があるからこそ、現場に立ち続ける。
それは内科より外科の方が深刻ではないかと直感的に思える。
「実は過去の研究では、外科医も『若いほうが患者の死亡率が低い』という結果が出ていました。しかし、その研究では、若い外科医は難易度の低い手術を担当していただけである可能性が指摘されていました。
そこで、私たちの研究では、緊急手術に限定することでこうした要因を排除したところ、高齢の外科医のほうが死亡率が低いという結果が出た。手術の技術向上には、やはり経験が必要不可欠であることが証明されたといえます」
外科については、妥当な所見だと思える。
内科については、以下の所見が挙げられている。
「医療の進歩は早く、内科医は高齢になると最新の医学知識をアップデートしていくことが困難であると考えられます。大学を出てすぐの若い医師は習った内容が最新のため、より新しいエビデンスに沿った診療をしていると考えられます」
確かに私の薬も入院中と退院後で変わった。
今のラミクタールの方が、効果が高いと言われた。
外科と内科と同じ基準で比べられないのは言うまでもない。内科への所見は、最新のエビデンスを若い医師の方が学んでいるとすればという仮定条件。
この見解は、あくまでそういう仮定での話としか言えなさそうだ。
主治医が若い医師に変わったが、それがいい方向に向かうことを望みたい。
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