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友達に「『薔薇王の葬列』ってどんな話なん?」と聞かれ、口頭で説明したのだが、登場人物に同じ名前が多すぎて「ごめん。よくワカンナイ!」と言われ、挫折したので、文章であらすじを書いてみる。(ネタバレするんで内容を知らずに読むのがお好きな方はどうかUターンをm(__)m)

 

『薔薇王の葬列』は菅野文先生によるイギリスの薔薇戦争を題材にした少女漫画。

 

現在15巻まで発売中(おそらく17巻で完結)

 

簡単に「薔薇戦争とは何か?」を説明すると、1455年~1485年の30年間に起こったイングランド王朝の内乱。

 

白バラの家紋のヨーク家と赤バラの家紋のランカスター家の権力闘争なのだが、最終的に関係ないテューダー家が勝利する(漁夫の利)。

 

ちなみにテューダー朝は現在のイギリス王室の元祖。

 

長期の戦争によって諸侯は没落していき、イギリスは絶対王政の時代に突入する……というのが、世界史で学習する部分であるが、この漫画の主人公は薔薇戦争の最終決戦(ボズワースの戦い)で死ぬヨーク家の最後を飾る王様リチャード三世である。

 

史実と全く異なるのは、主人公のリチャードが両性具有の設定で美しいこと。

 

シェークスピアの作品では『リチャード三世』はイギリス史上、極めて残忍な王様として描かれているのだが、菅野先生のリチャードは妖艶で美しい(けど、主要登場人物が「少女漫画かッ!?」というくらい容赦なく死んでいきます!)

 

いろんなイケメンたちが美しい両性具有のリチャードに惚れ込んで苦悩していくのだが(魔性の女設定最高!)、本人は無自覚&鈍感&すれ違いなどの事情により、しんどい展開の連続。

 

ヨーロッパでは、新しい名をつける習慣がなく、聖人や偉人の名を子につけることを良しとする風習があるため、史実を軸にしたこの漫画は同じ名前の主要登場人物がやたら多い。

 

【漫画の主要登場人物で名前かぶってる人たち】

リチャード(3人いる)・・・主人公のリチャード(のちのリチャード3世王)、ヨーク公リチャード(主人公の父)、主人公の甥

エドワード(4人いる)・・・エドワード王太子(ヘンリー6世王の息子)、エドワード四世王(主人公の兄)、主人公の息子、主人公の甥

ヘンリー(3人いる)・・・ヘンリー6世王(主人公の初恋の人) バッキンガム公爵ヘンリー・スタッフォード(主人公の初体験の相手) ヘンリー7世(リッチモンド伯爵、主人公を破滅に追いやる敵の大将)

 

主人公のリチャードが初めて好きになった男と、初体験の相手と、最大の敵の名が全部同じ名前のヘンリーって超エグい……

 

【主人公リチャードを好きになっていく男達】

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その1

ヘンリー6世王(初登場は1巻)

(3巻の表紙はヘンリー)

 

ヘンリーは主人公リチャード(ヨーク家の3男)の敵であるランカスターの王様。

 

幼い頃に王となり、大人たちに操られてきたせいか政治に興味がなく、自分が王であることに不自由を感じていて、羊飼いの生活に憧れている。

 

羊飼いになりきっているときに、少年期のリチャードと知り合い(1巻)、互いに敵とは知らず、友達になっていく。

 

6巻でリチャードが泉に裸でつかっている後ろ姿を見てしまい、(彼が両性具有である事実は知らずに)男性なのに美しいと思ってしまう。

 

「全てを奪い尽くしてしまいたい」と思うほどの衝動をリチャードに抱くが、熱心なキリスト教徒の彼は罪悪感を感じ、リチャード本人には好きだと言えないまま苦悩する(7巻)。

 

一方、ヘンリーへの恋心を意識したリチャードは、戦いが終わったらヘンリーとまた会おうと約束する(6巻)。

 

しかし、7巻で互いに敵であることを知り、ヘンリーはショックで記憶喪失に。

 

リチャードは兄王から、幽閉の身のヘンリーを殺せと命令される。

 

殺す前に、リチャードはヘンリーにキスをしたが、記憶喪失で惑乱しているヘンリーはリチャードに「悪魔!」と叫ぶ。

 

実はヘンリーが悪魔だと思ったのは、記憶に残っている浮気症の実母の残像だったのだが、リチャードはそれを自分への完全なる拒絶だと思い、泣きながらヘンリーの片目を刺す。

 

リチャードはこのときヘンリーを殺したと思っているが、実は記憶喪失のまま、彼は暗殺者ジェイムズ・ティレルとして生き延びる。

 

現実世界で子持ちのオッサン(史実だと約30歳年上)に好意を持たれてトキめくかは微妙だが、菅野先生の描くヘンリーはビジュアル若くて金髪のゆるふわイケメン!

 

しかし、こんな仕事欲のない男を夫にするとたいへんそうで、戦う意志のない夫の代わりに軍隊を指揮するマーガレット様(ヘンリーの妻)にマジ脱帽。

 

記憶喪失でジェイムズ・ティレルになるとグレーヘアだが、おじいちゃんには見えません。

 

やっぱり彼はどこか掴みどころのないミステリアスなイケメン。

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その2

エドワード王太子(初登場は1巻)

(5巻の表紙はエドワード王太子)

 

ヘンリー6世王の息子。

 

親子で敵のリチャードを好きになっちゃうカオス。

 

父親のヘンリー6世は、息子もリチャードに思いを寄せている事実を知らないが、父とリチャードが親しげに話している姿を目撃(3巻)したことのあるエドワード王太子は心の中で盛大に父親に敵対心を燃やしている。

 

美形青少年、ライバルはお父さん!!

 

リチャードの少し膨らみかけた胸を見てしまい(1巻)、リチャードは男装している姫なのだと思い込む。

 

父親のヘンリーは綺麗な男の子を好きになってしまった! と苦悩の末にお互いに敵であることを知り、リチャードに思いを伝えられないままなのに対し、息子のエドワードはリチャードを男装の麗人と思っているから、愛情表現は直球ストレート(だけど常に空振り!)

 

リチャードを全力で可愛いと思っている。

 

2巻でヨーク家が優位にたち、リチャードの兄であるエドワードが王になるが、ヨークを倒せば姫であるリチャードは自分のものになると考え、戦いに意欲を燃やす(このあたり、戦が嫌いな父とは正反対)。

 

5巻でリチャードは兄王エドワードがピンチになったとき、女装をして救出に向かうのだが、そのとき協力してくれる。

 

リチャードは女装をしていても男言葉をつかい、髪はショートカットの姿。

 

「おまえ、俺が女に見えるか?」と聞くリチャードに「当たり前だろう」と返し、リチャードに好かれようと贈り物をしたり、着飾らせたがったり、リチャードにメロメロの純情っぷり。

 

リチャードが高級娼婦のフリをして兄王を助けようという計画を立てると「もっと自分を大事にしろ」と全力で心配。

 

ヨークとの戦争(7巻)でリチャードに殺される(切ない)

 

川に落ちたときの人工呼吸でリチャード本人の記憶にはないが、リチャードの初キスの相手はエドワードである(3巻)。

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その3

バッキンガム公爵ヘンリー・スタッフォード(初登場は3巻)

(10巻はバッキンガムが表紙 ドヤ顔が似合う自信家)

 

リチャードに肉体関係を強要する代わりに、彼を王位に導く野心家イケメン

 

リチャードより年下の彼は、初登場時はまだ少年だが、この頃からリチャードをロックオン。

 

リチャードに「女みたいな顔をしている」とか「俺は高貴な女が好きなんだ」と言うマセガキ。

 

リチャードの兄エドワード王の指示で強引に田舎貴族と結婚させられるも、好きなのはリチャードで妻への愛はない。

 

8巻になると、メガネをかけた長身のイケメンに成長。

 

お酒を飲んで潰れたときにリチャードの胸を一瞬見てしまい、幻覚なのか夢なのかと、彼の肉体の秘密を探り始める。

 

リチャードの従者であるケイツビーがリチャードにいつもピッタリなのが気にくわないのか、同性愛を疑っているのか、ケイツビーに「我々の神の元では重罪だぞ 男同士は」とか「俺は神など信じないがな」とか言って牽制する(9巻)。

 

何かとバッキンガムとケイツビーの2人はバッチバチ。

 

10巻で刺客を雇い(刺客は記憶喪失のヘンリーこと暗殺者のジェイムズ・ティレル)、ケイツビーを追い払うと、リチャードの手首を縛って、服を切り裂き、彼の両性具有の秘密を知る。

 

それ以降、リチャードを王にすると約束する代わりに、リチャードに肉体関係を強要するが、ドライな肉体関係かと思いきや、次第にリチャードもバッキンガムも恋の沼にずぶずぶハマっていく。

 

13巻でリチャードは王になるが、祝宴の仮装舞踏会で女装をする羽目に。

 

王妃の衣装を身に着けたリチャードを見たバッキンガムは自分も仮装をして眼鏡をかけていなかったことから、まさかリチャード本人だとは思わずに「あんたによく似た人を知っている」と言ってダンスをし「あんたがあの人じゃなくてよかった」「こんなふうに抱きしめたら二度と放せなくなる」と言う。

 

恋心を強烈に自覚したバッキンガムはリチャードに熱烈にキス(13巻)

 

2人で宴を抜け出して、亡き兄王の屋敷で一夜を過ごす。

 

過去を知りたいというバッキンガムに、リチャードは前王であるヘンリーを愛していたと、聞かれても語ってはいけない恋のぶっちゃけ話をしてしまう(14巻)。

 

メンタルやられるバッキンガム。

 

追い打ちをかけるようにリチャードの秘密の告白は続く。

 

リチャードは形式だけの結婚をしているのだが、妻のアンとの間に生まれた子どもは自分の実の子ではなく、ヘンリー王の息子(エドワード王太子)の子だとぶっちゃける。

 

リチャードが、昔、愛していた男の血筋の子供を大切に育てている現実が許せないバッキンガム。

 

自分の望みはリチャードを王にすることではなく、彼自身を自分のものにすることだったのだと猛烈に独占欲を自覚する(14巻)。

 

両性具有のリチャードは自分が妊娠している可能性に気づき、バッキンガムに堕胎薬を使うと打ち明ける。

 

それを聞いたバッキンガムは、政治は自分がするから、子どもを産んでほしいとリチャードを監禁。

 

しかし、リチャードは「欲しいのは王冠だ」と、バッキンガムの子どもを産むことを完全に拒否、探しにきたケイツビーによって王宮に戻る。

 

そのリチャードの態度に、バッキンガムは反乱を起こして力づくでリチャードを手に入れようと計画するも失敗。

 

王の右腕としてバッキンガムにそばにいてほしいリチャードと、リチャードの全てを自分のものにしたいバッキンガムはすれ違う。

 

謀反を起こしたバッキンガムを許すべきではないという周囲の圧力で、リチャードは泣く泣くバッキングを処刑する。

 

まるで、妻子持ちの男に「家庭を捨てて私のところに来て!」と狂った不倫相手が言い、関係がこじれて立場どころか命まで失う昼ドラ感。

 

史実では、バッキンガムはリチャードを王にするために協力したのに恩賞が少なかったことに不満を持って反乱を起こすのだが、ここまでリチャードとバッキンガムのラブエロ展開で、一体どうやってバッキンガムを裏切る方向に話を持っていくのだろう? と13巻を読んでいた頃は疑問だったのだが、14巻を買って菅野先生、ブっ飛んでる~!! と思った。

 

先生、好きですッ!!(告白)

 

個人的に10巻でバッキンガムに抱かれている妖艶なリチャードと、13巻のキスシーンが美し過ぎて大好物です。

 

私、9巻くらいまでママ友に「この漫画、薔薇戦争のことが分かりやすくていいよ~!」なんて宣伝してたのに、10巻のバッキンガム暴走で、迂闊に子供に勧められない展開になってんじゃん!(冷や汗だらだら)とか思ったけど、ストーリー的にはバッキンガム、エロくて最高!!

 

だけど菅野先生の絵が美しいから、下品な感じはなくて、ひたすら耽美で官能的。

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その4

ケイツビー(初登場は1巻)

11巻はケイツビーが表紙

 

リチャードの両性具有の秘密を父・母・乳母以外で知っている人物で、ハンサムな従者。

 

リチャードが生まれた頃から仕え、リチャードのピンチには必ず救出にやってくるスーパーセコムのような存在。

 

だが、肝心なときに(リチャードが色恋沙汰に巻き込まれがちなときだけ)、なぜかいつもおそばにいられない気の毒な男。

 

リチャードがヘンリーに出会ったとき、リチャードがエドワードに胸を見られたとき、リチャードがバッキンガムにレイプされそうになったとき、全て諸事情でそばにいないッ!

 

エリザベス王女にゲームで初恋の相手を告白せよと命令され(9巻)、バッキンガムに「お前のような堅物でも四六時中 女のことを考える時代があったのか?」とからかわれ、リチャードの目の前で「はい、生涯ただおひとり……その方だけです」と言うも、名前を言わないので、リチャードは自分のことではないと思い、信頼する従者の告白に「知らなかった お前にそんな相手がいたとは」とモヤモヤする。

 

切ない勘違い。

 

ケイツビーほどリチャードに尽くしている男はいないと思うが、尽くされている本人はその深すぎる愛に気付いていない(鈍感すぎる主人公!!)

 

ケイツビーと言えば、自暴自棄になって自分を傷つけようとするリチャードを後ろから抱き止めたり(1巻)、女装をして逃走中のリチャードをお姫様抱っこしたり(4巻)、幼いリチャードに「森で迷子になったらお迎えにきてね」と言われ探したり(11巻)、主従萌えポイント満載の人物なのだが、彼は主君に仕える家臣という態度を崩さない。

 

ヘンリーを思っているリチャードの心の気が付くと、頼まれてもいないのにヘンリーに似た死体を用意して逃がそうとしたり(7巻)、バッキンガムには「あの方(リチャード様)を傷つけるものは誰であろうと容赦はしない」と喧嘩を売るも、リチャードが自ら王位への野望でバッキンガムと共犯しようとしていることに気付くと、二人の情事を目撃しても眉一つ動かさずにリチャードに片膝をついて手に口づけをして忠誠を誓ったり(11巻)、恋情とか愛情とか完全に超越して、忠誠心の塊である。

 

鈍感リチャードは気付かないが、本人のいないところでは「わたしにとって人生とはリチャード様なのです」とか言ってみたり(本人の前で言ってくれ!)、「リチャード様、私は決してあなたの光にはなれない。それでも決してあなたを独りにはしない。その道がどれほど深い暗闇でも」と心の中で独白してみたり(言葉に出して言って~!)、ぶっ飛んでる忠誠心。

 

でも、ケイツビーは姫をお守りするナイトのようにリチャードを守り、自分は彼に手を出さない。

 

極めつけだったのは、バッキンガムの死で情緒不安定なリチャードが「他の女のことでも想像していいから抱いてくれ」と頼んだとき、自分が愛しているのはリチャードだと一切言わずに「できません」と拒否(16巻予定)。

 

高貴な血筋のリチャードを自分のような従者の身分の男が穢してはいけないと思っているのか、こんなに弱っているリチャードを抱いてもあとで彼が後悔するだけだと気遣ってのことなのか、その全部なのかは分からないが、きっぱり拒否するケイツビーに(安っぽい漫画だと、このままエッチシーンに流れ込むと思うのだが)深すぎる忠誠心と愛を感じたのであった(ケイツビーの愛が重いっ!!)

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その5

エドワード4世(初登場は1巻)

 

王道の美形キング、リチャードの兄

 

女装したリチャードを見て「実の弟でなければ抱きたいくらいだ」と危ない発言(5巻)。

 

なんだかんだで弟のリチャードと3回キス。

 

そのわりに、死ぬまで弟が両性具有と知らずに他界。

 

ファザコンのリチャードは、父によく似た容姿の長兄エドワードには死ぬまで忠義を尽くし、兄の死後、バッキンガムと悪の手を組み、一気にのしあがる。

 

☆リチャードを好きすぎる男たち その6

エドワード王子(初登場は8巻)

(15巻の表紙 左上がエドワード王子 右下がエリザベス王女)

 

表向きはリチャードの息子だが、本当はリチャードに殺されたエドワード王太子と妻アンの子ども。

 

可愛い系の美少年。

 

リチャードに「今日もとても美しいです、お父様」と言い、崇拝(8巻)。

 

父に花をプレゼントするも、「それは母上にあげなさい」とリチャードに言われる。

 

女の趣味も、やることも実の父と丸かぶり。

 

※実の父エドワード王太子はリチャードに花のブローチのプレゼントをしたことがある

 

祖父・父・息子の3代にわたってランカスターの男を魅了するリチャード、恐ろしい子。

 

仮装で王妃の姿になったリチャードを見て「ぼく、こんなに美しい人を初めてみました」と感激。

 

初恋はお父さん!

 

☆リチャードを好き過ぎる男たち その7

イーリー司教(初登場は11巻)

 

リチャードは王になる野望のため、金でイーリー司教を買収しようと単独で彼の元を訪れる(11巻)

 

しかし、イーリー司教が望んだのはリチャード自身で「ずっと夢想していた この唇を味わいたいと」とか「少女のような少年の妖艶さ」とか「年を経てもその危うさを失うどころか貴方はますます悪魔のように蠱惑的だ」とか「この甘美な花の香り」とか、リチャードを押し倒して吐くセリフが完全にエロ親父全開

 

突如現れたジェイムズ・ティレルの邪魔でリチャードは危機脱出。

 

その後、イーリーに盛大に嫉妬するバッキンガムがツボだった。

 

番外編

☆リチャードを好き過ぎる女 

アン(リチャードの妻)

 

リチャードは少年期、ウォリック伯の元で小姓をし、長女のアンと知り合う。

 

その後、王の弟という立場だからではなく、純粋に自分に優しくしてくれる可愛いアンにリチャードは好意を持つ。

 

父親ウォリック伯は「その調子でリチャードを誘惑しろ」と言う。

 

アンはリチャードのことが本当に大好きだからこそ、リチャードを政治の駒として利用しようとする父の考えに賛同できず「いや!」「リチャード様と結婚なんてしないわ!」と反論する。

 

タイミングの悪いことに、プレゼント(手作りの雪だるま)を持ってアンの部屋を訪れようとしたリチャードはその言葉をこっそり聞いてしまい、ショックを受けてアンと距離を置く(誤解による切ないすれ違い)。

 

リチャードの心が離れたことを悟ったウォリックは、アンをランカスター家のエドワード王太子と結婚させる(5巻)。

 

優しい性格のアンはエドワードとは愛情はなくても友情を築く。

 

「リチャードは女だ」と言い張るエドワード王太子に、たしかにリチャード様は女性のように美しいけれど、そんなはずはないと反論。

 

夫婦で同じ人間(リチャード)を好きになり、互いに自分のほうがリチャードを愛しているとマウントを取り合うおかしな夫婦(5巻)。

 

ランカスターが敗北しエドワード王太子が殺された後、腹黒王妃の差し金でリチャードの妻になるが、このとき既にエドワード王太子の子を妊娠している(8巻)。

 

最終的にアンは若くして病死するのだが、死ぬまでリチャードの肉体の秘密を知らず、リチャードに好かれていないと思い込んだまま、この世を去る(切ない……優しいアンならリチャードは両性具有の秘密を打ち明けても受け入れてくれそうな気がしたが……)。

 

ヘンリー、エドワード、バッキンガム、ケイツビー、アン。

 

ヘンリーはプラトニックなボーイズラブでリチャードを天使と呼んで好意を寄せ、

エドワードは男装の姫だと思って猛アタック、

バッキンガムは悪魔の半身になってやると誘い、

ケイツビーは「……」(主なセリフは三点リーダー)寡黙に忠誠を誓い、

アンは純粋にリチャードを男性として慕っている。

 

一人の人間を好きになるのに、愛情の持ち方の種類がこれほどまでに違うのに菅野先生のキャラの描き分け、マジすげーってなる。

 

主人公のリチャードをみんな大好きなのに、なぜか一人も報われない。

 

見事なまでのすれ違いラブストーリー。

 

私の拙い筆力では魅力を語り切れないのでぜひ課金して読んでくださいm(__)m

 

あらすじにつづく

 

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